近代生物学は、「測る」ことから始まったと言っても過言ではない。DNAやタンパク質のX線回折像を元に構造を決定する際にも「距離や強度を測る」ことが基本となる。また、酵素の反応速度を測ることで、酵素機能を定量的に理解できた。近年進歩の著しい分子や細胞のイメージングの分野においても、光強度、色、距離を測ることからさまざまな分子機能・細胞機能が明らかとなる。現代においては、測ることがますます重要となっている。 この観点に立ち、生物普遍性機構では、分子・細胞・個体を用いた高解像度測定や観察、大量のデータ解析、多種の量の測定、新しい測定法の開発の研究を行い、生命全体・細胞全体の構造や機能を定量的に理解することを目指している。
分子研究の例:ミオシン分子集団の振る舞いを1分子レベルで測定した結果、ミオシンの弾性は非線形であり、個々のミオシンは約8nmの構造変化を行うことで、力発生を行うことが明らかとなった。