2024年 冬学期 第3回 物性セミナー
講師 早川 尚男 氏 (京都大学基礎物理学研究所)
題目 量子&古典Mpemba効果: 様々な物質の示す異常な熱緩和過程
日時 2024年 11月 8日(金) 午後4時50分-6時15分程度
場所 Zoomによるオンライン配信
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アブストラクト
Mpemba(ペンバ)効果とは、より高温の物体が、同じ物体のより低温のものよりも速く冷却されて、より低温になるという、直感に反する現象のことである。これまで再現性の低い眉唾ものとして扱われてきたが、数年前に光学トラップを用いた実験的観測[1]によって研究が世界的に認知されるようになり、今年に入って量子Mpemba効果の実験が初めて報告され[2,3]、量子コンピューターへの応用への期待も相まって急激に論文数が増加するようになってきた。
本講演では、ペンバ効果の歴史的レビューから始め、代表的な2つのセットアップと典型的なMpemba効果のシナリオを紹介した後に、発表者が関わった主に初期条件に依存した初期緩和速度の違いを利用した量子ペンバ効果のAndersonmodelを用いたクエンチダイナミックスの解析[4]と複素固有値を持ったモデルでのクエンチダイナミックスでの例外点の効果を紹介する[5]。また、時間があれば古典Mpemba効果に限定した結果ではあるが、より制約のきつい初期状態を平衡にした2つの系でMpemba効果が生じる条件や生じない条件[6]及びその生じる条件をThermomajorizationと結び付けた研究等の概略も紹介したい[7]。
参考文献
[1] A. Kumar and J. Bechhoefer, Nature 584, 64 (2020).
[2] L. K. Joshi et al., Phys. Rev. Lett. 133, 010402 (2024).
[3] S. Aharony Shapira et al. Phys. Rev. Lett. 133, 010403 (2024).
[4] A. K. Chatterjee, S. Takada, and H. Hayakawa, Phys. Rev. Lett.131, 080402 (2023).
[5] A. K. Chatterjee, S. Takada, and H. Hayakawa, Phys. Rev. A 110,022213 (2024).
[6] N. Ohga, H. Hayakawa, and S. Ito, arXiv:2410.06623.
[7] T. Van Vu, and H. Hayakawa, arXiv:2410.06686.
宣伝用ビラ
KMB20241108.pdf(42)
物性セミナーのページ
http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/KMBseminar/wiki.cgi/BusseiSeminar
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最終更新時間:2024年10月28日 15時18分27秒