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!!!2021年 冬学期 第8回 物性セミナー
!!講師   作道 直幸 氏 (東京大学工学系研究科)
!!題目 高分子ゲルの熱力学: 準希薄スケーリング原理と負のエネルギー弾性
!!日時 	2022年 1月 14日(金) 午後4時50分
!!場所 	16号館 827
!!場所 Zoom によるオンライン開催

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・登録のない方は、以下で予め登録をお願いします。(自動的に物性セミナーMLへ登録されます。)登録フォーム https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdT67ZsTDiKsvutP59tY4tOUlx4WTInMKkTQIGWLqYCrPAQKA/viewformをご利用ください。

!アブストラクト
高分子ゲルは、架橋された高分子鎖の網目が大量の水を保持した固形のソフトマター
であり、ゼリー・豆腐などの食品や、ソフトコンタクトレンズ・止血剤など医療に活用
される。高分子ゲルの物性を理解することは、産業的な材料開発への需要もあるが、そ
の平衡熱力学すら十分に理解されていない。その理由は、通常のゲルは制御できない不
均一な高分子網目構造を持つために実験の再現性が低く、その不均一性の影響を評価す
ることも困難なためである。我々は、極めて均一で制御可能な網目構造を持つ高分子ゲ
ル(テトラゲル)を用いることで、この不均一性の問題を克服し、高分子ゲルの熱力学
の構築に取り組んでいる。本講演では、高分子ゲルの熱力学において最も基本的な弾性
率と浸透圧に関する我々の研究を紹介する。弾性率に関しては、熱力学第二法則に由来
する「エントロピー弾性」が支配的であると長年信じられてきたが、エントロピー弾性
に加えて、内部エネルギー変化由来の「負のエネルギー弾性」を持ち、その合計で弾性
が決まることがわかった [1,2]。浸透圧に関しては、液体状のゾル状態から固体状のゲル
状態までの、ゲル化(固化)の進行に伴う浸透圧の低下は、高分子溶液で知られる普遍
的状態方程式で決まることがわかった [3]。最近、この発見に基づき、ゲルの浸透圧の
本質は「準希薄スケーリング則」だと考え、これを原理として認めると、ゲルの平衡膨
潤率が従来の標準的な平均場理論(Flory-Huggins 理論)よりも正確に予測できるだけ
でなく、自己回避ウォークの臨界指数が実験的に決定できることがわかった。また、de
Gennes の c*定理の主張を実験的に明確に否定し、実験と整合的な新しいスケーリング
則が導出される。最後に、非平衡におけるゲルの普遍法則についても紹介する [4]。

[1] T. Yoshikawa, N. Sakumichi, U. Chung, T. Sakai, Phys. Rev. X 11, 011045 (2021).

[2] N. Sakumichi, Y. Yoshikawa, T. Sakai, Polymer J. 53, 1293 (2021).

[3] T. Yasuda, N. Sakumichi, U. Chung, T. Sakai, Phys. Rev. Lett. 125, 267801 (2020).

[4] T. Fujiyabu et al., Phys. Rev. Lett. 127, 237801 (2021).

!宣伝用ビラ
{{ref KMB20220114.pdf}}

!物性セミナーのページ
http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/KMBseminar/wiki.cgi/BusseiSeminar