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物性セミナー/2017-6-16の変更点

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!!!2017年 夏学期 第3回 物性セミナー
!!講師   横倉祐貴氏 ( 理化学研究所 )
!!題目 ネーター保存量としての熱力学エントロピー
!!日時 	2017年 6月 16日(金) 午後4時50分
!!場所 	16号館 827

!アブストラクト

エントロピーはマクロとミクロの物理をつなぐ役割を担っている。しかし、その理解は平衡状態に限られており、系が時間発展する場合に対しては未だに明らかではない。そこで、最も平衡状態に近い時間発展である「断熱準静操作の下でエントロピーは保存する」という過程に注目し、ネーターの定理の枠組みにおいて、このエントロピーの保存則に対応する対称性を探し出す。まず、古典粒子系を考え、その作用の定義域を熱力学の準静過程と整合的な軌道に限定すると、時間を(プランク定数)×(時間依存した温度の逆数)だけ無限小並進する対称性が現れる。次に、量子多体系を考え、そのユニタリー発展を熱力学的状態空間における経路積分として定式化する。その有効作用はエントロピーとその正準共役量を力学変数として含む。準静的操作の下でその共役量の並進対称性が出現し、それがエントロピーの期待値の保存則を導く。その対称性は上記の時間の対称性と結びつく。こうして、エントロピーはネーター保存量として特徴づけられる。
エントロピーはマクロとミクロの物理をつなぐ役割を担っている。しかし、その理解は平衡状態に限られており、系が時間発展する場合に対しては未だに明らかではない。だが、理解の進んでいる特別な時間発展が存在する。それは「断熱準静操作の下でエントロピーは保存する」という過程である。実際に、断熱定理がこの過程をミクロの力学から記述する。そこで、我々は古典粒子系を考え、ネーターの定理の枠組みにおいて、このエントロピーの保存則に対応する時間の特別な対称性を見出した[1]。注目すべきは、その対称性に量子力学が顔を覗かせることである。(実際、量子版も構成できる[2]。)こうして、熱力学と量子力学と時間の間にある不思議な関係が見えてくる。

[arXiv:1509.08943, 1611.07268]
[1] S. Sasa and Y. Yokokura, Phys. Rev. Lett. 116, 140601 (2016).

[2] S. Sasa, S. Sugiura and Y. Yokokura, arXiv:1611.07268.


!宣伝用ビラ
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!物性セミナーのページ
http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/KMBseminar/wiki.cgi/BusseiSeminar