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物性セミナー/2014-11-28の変更点

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!!!2014年 冬学期 第3回 物性セミナー
!!講師   賀川 史敬 氏(理化学研究所 創発物性科学研究センター)
!!題目 電荷自由度における結晶化と急冷によるガラス化
!!日時 	2014年 11月 28日(金) 午後4時30分
!!場所 	16号館 827


!アブストラクト

液体は通常、徐冷すると原子(または分子)が規則正しく配列した結晶化を起こすが、結晶化が間に合わないほど速く急冷した場合は、原子は不規則な配列なまま凍結し、いわゆるガラス状態(構造ガラス)を形成する。このよく知られた振る舞いと類似した現象が、固体中の強相関電子系についても起こり得ることが、有機導体-(ET)2Xにおける研究を通じて分かってきた[1,2]。有機導体-(ET)2MM’ (SCN)4 [M = Rb/Cs/Tl; M’ = Zn/Co]は、低温でウィグナー型の電荷秩序(電荷の“結晶化”)を起こすが、急冷下では電荷秩序転移を起こすことなく、電荷がガラス的に凍結するという振る舞いを示す。本講演では、電荷ガラスと構造ガラスの共通点について概観した上で、“電荷のガラス形成能”について議論する。
液体は通常、徐冷すると原子(または分子)が規則正しく配列した結晶化を起こすが、結晶化が間に合わないほど速く急冷した場合は、原子は不規則な配列なまま凍結し、いわゆるガラス状態(構造ガラス)を形成する。このよく知られた振る舞いと類似した現象が、固体中の強相関電子系についても起こり得ることが、有機導体Θ-(ET)2Xにおける研究を通じて分かってきた[1,2]。有機導体Θ-(ET)2MM’ (SCN)4 [M = Rb/Cs/Tl; M’ = Zn/Co]は、低温でウィグナー型の電荷秩序(電荷の“結晶化”)を起こすが、急冷下では電荷秩序転移を起こすことなく、電荷がガラス的に凍結するという振る舞いを示す。本講演では、電荷ガラスと構造ガラスの共通点について概観した上で、“電荷のガラス形成能”について議論する。
本研究の対象である有機導体においては、電荷が秩序するサイト(ET分子)は三角格子を形成しており、したがって秩序形成に際して幾何学的フラストレーションが働くことが期待されるが、その強さは物質毎に異なる(M, M’ の組み合わせに依存する)。このようなアプローチで一連の物質を調べることで、格子の幾何学的フラストレーションが強い程、電荷秩序の秩序化ダイナミクスが減速し、結果として、有限の実験時間においては電荷が非平衡な配置に凍結しやすくなる(電荷自由度におけるガラス形成能が高くなる)という傾向が見えてきた[3]。幾何学的フラストレーション下で起こり得る新奇物性は凝縮系物理学における主要な研究テーマの1つであるが、「フラストレーションと秩序化ダイナミクス」という視点は、このような文脈に対し新たな切り口を与えるかもしれない。

[1] F. Kagawa, T. Sato et al., Nat. Phys. 9, 419 (2013).

[2] T. Sato, F. Kagawa et al., Phys. Rev. B 89, 121102(R) (2014).

[3] T. Sato, F. Kagawa et al., J. Phys. Soc. Jpn. 83, 083602 (2014).

!宣伝用ビラ
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