トップ 差分 一覧 ソース 検索 ヘルプ PDF RSS ログイン

物性セミナー/2011-10-7

2011年 冬学期 第1回 物性セミナー

 講師 北川健太郎氏(東京大学物性研究所)

 題目 超高圧NMR実験手法の開発と化学量論比鉄系超伝導のNMR研究

 日時 2011年 10月 7日(金) 午後4時30分午後5時より

開始時間が変更になりました.

 場所 16号館 827

アブストラクト

 核磁気共鳴法(NMR)は、静的には内部磁場分布と電場勾配分布、動的には磁気ゆらぎまたは状態密度を観測可能な手段であり、鉄系超伝導体の研究にも盛んに利用されている。さらに、4GPa程度までの高圧NMR実験は盛んに行われてきた。しかしそれ以上の圧力ではほぼ皆無であった。そこで我々は、十分な試料体積と利便さを志向した14GPaまでの対向アンビルセルを開発し、超高圧下NMR測定を実用化したのでこれを紹介したい。 一方、スペクトロスコピーでは、純良な単結晶による研究が最も多くの情報が得られる。鉄系超伝導体関連物質では、単純な結晶構造を持ち化学量論比の大型単結晶が育成可能なものもあり、特に圧力と組み合わせた場合に高いTcと純良な結晶格子を両立可能な稀な研究素材となっている。我々は、そのような未ドープの単結晶での研究に着目し122系と111系の化合物群でのNMR実験を行なってきた。最近の意外な結果としては、NaFeAsにおいて温度誘起の非整合スピン密度波状態へのクロスオーバーが観測された。結晶に乱れを伴わない鉄系物質ではこれまで整合の反強磁性のみが報告されていた。 超高圧NMR実験としては、SrFe2As2の圧力誘起超伝導相において行なった結果[2]、この状態が単一の超伝導相ではなく、同一転移温度以下で超伝導相と反強磁性相が共存して出現する状態であることが分かった。また、様々な証拠から、小さいスケールで周期的な反強磁性・超伝導ドメイン構造が自発的に出現した状態ではないかと推測している。このような長周期構造の出現は、NaFeAsで観測したような反強磁性の非整合性と関係していると推測され、鉄系で多く報告されている反強磁性共存超伝導状態と関連して議論したい。

[1] KK et al., J. Phys. Soc. Jpn. 79, 024001 (2010).

[2] KK et al., PRL103, 257002 (2009).

宣伝用ビラ

KMB2011-1007.pdf(395)

物性セミナーのページ

http://huku.c.u-tokyo.ac.jp/cgi-bin/FSwiki/wiki.cgi/BusseiSeminar

駒場セミナーカレンダー(駒場内のみアクセス可)

http://huku.c.u-tokyo.ac.jp/cgi-bin/webcal/webcal.cgi

[ページのアクセス数: 0282143]

最終更新時間:2011年10月03日 11時55分13秒