2011年 冬学期 第2回 物性セミナー
講師 石原秀至氏(東京大学大学院総合文化研究科)
題目 細胞のおしあいへしあいによる生き物の形づくり
日時 2011年 10月 21日(金) 午後4時30分
場所 16号館 827
アブストラクト
多細胞生物の発生過程において、個体や組織の大変形は、組織を構成する細胞自身の力学的な相互作用(押し合いや引っ張り合い)から現れる。変形の制御原理を理解するためには、遺伝子発現のプロファイルとともに、変形を駆動する機械的な力を特徴づけなければならない。しかしながら、細胞集団中に働く力の動態を直接計測する手段がなかったため、力と変形の関係を解析することが難しかった。我々はこの技術的困難を打開するために、細胞の画像データから個々の細胞の圧力や細胞接着面に働く張力を理論的に推定する手法を開発した。張力を生成するミオシン分子の分布や、細胞接着面の微小切断に対する細胞応答との比較から、我々の手法が妥当な推定を与えることを確かめた。 この手法をショウジョウバエの翅上皮に適用し、細胞接着面の張力とミオシンの細胞内局在、翅に作用する外力の関係を調べた。そして、分子活性に基づく内的な張力と外的なひっぱり力のバランスが細胞の六角格子化を駆動する新規物理メカニズムを明らかにした。
宣伝用ビラ
KMB2011-1021.pdf(454)
物性セミナーのページ
http://huku.c.u-tokyo.ac.jp/cgi-bin/FSwiki/wiki.cgi/BusseiSeminar
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最終更新時間:2011年10月11日 11時36分14秒