トップ 差分 一覧 ソース 検索 ヘルプ PDF RSS ログイン

物性セミナー/2010-12-17

2010年 冬学期 第5回 物性セミナー

 講師 野原実氏(岡山大学大学院自然科学研究科、JST-TRIP)

 題目 鉄系超伝導体の新物質開発

 日時 2010年 12月 17日(金) 午後4時30分

 場所 16号館 827

アブストラクト

東京工業大学の細野らによるLaFeAsO1-xFx における臨界温度26 Kの超伝導発見を契機に、様々な新しい鉄系超伝導体が開発された。現在では、その臨界温度はPrFeAsO1-xFxの56 K にまで上昇している。 鉄系超伝導体は、共通してFe の二次元面が超伝導を担う。母物質は反強磁性金属で、化学ドープによって反強磁性を抑制すると高温超伝導が発現する。構成元素の全てに対して化学ドープが可能であるが、超伝導を担うFe に対する化学ドープでは転移温度が低くなる。例えばSmFeAsO では、O をF で置換したときのTc = 55K に対して、Fe をCo で置換した場合Tc = 15K である。このように、「主役元素への化学置換は超伝導にとって不利である」というのが、物質開発の常識であった。 この常識に反して、最近私たちは、Fe をPt で部分置換した化合物が、主役元素を置換した超伝導体としては最高の、臨界温度38 K で超伝導を示すことを発見した。化学組成分析から、この超伝導体は組成式Ca(Fe1-xPtx)2-δAs2 で表される、Pt の置換xとFe 欠損δのコドーピングで特徴づけられる新規化合物であることが明らかになった。また、予備的な結晶構造解析から、新規構造の鉄系超伝導体であることが示唆されている。講演では、この「鉄欠損」超伝導体を中心に、最近の鉄系超伝導体の物質開発の動向についてお話したい。 

宣伝用ビラ

KMB2010-1217.pdf(512)

物性セミナーのページ

http://huku.c.u-tokyo.ac.jp/cgi-bin/FSwiki/wiki.cgi/BusseiSeminar

駒場セミナーカレンダー(駒場内のみアクセス可)

http://huku.c.u-tokyo.ac.jp/cgi-bin/webcal/webcal.cgi

[ページのアクセス数: 0282143]

最終更新時間:2010年12月08日 17時48分19秒