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2024-6-28
2024年 夏学期 第7回 物性セミナー
講師 河村 泰良 氏 (東大総合)
題目 N-S-N接合系における電圧誘起非平衡FFLO状態
日時 2024年 6月 28日(金) 午後4時50分-6時15分程度
場所 16号館 827 およびオンライン
物性セミナーMLに登録されている方は、セミナー案内メールでZoomアドレスを通知します。登録のない方は、以下で予め登録をお願いします。(自動的に物性セミナーMLへ登録されます。)
登録フォーム https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdT67ZsTDiKsvutP59tY4tOUlx4WTInMKkTQIGWLqYCrPAQKA/viewform
アブストラクト
超伝導体をレーザーや準粒子注入などにより駆動することで実現する非平衡超伝導は、古くから実験的にも理論的にも盛んに研究されてきた。非平衡超伝導体中の電子は、熱平衡系でのFermi-Dirac分布とは異なる非平衡エネルギー分布に従う。この非平衡エネルギー分布により、電荷インバランスやTc上昇などの熱平衡系では見られない新奇現象が生じることが知られている。
非平衡超伝導を実現する様々なセットアップの中で、我々は金属-超伝導-金属(N-S-N)接合系で実現する非平衡超伝導に注目した[2]。この超伝導接合系で金属電極間に電圧が印加されると、電子の連続的な流出入により超伝導体は非平衡状態に駆動される。このような粒子やエネルギーの連続的な流出入が存在する非平衡系は、一般に駆動散逸系として知られる。駆動散逸系では、しばしば自発的な時間・空間パターン形成が見られるため[3]、電圧駆動されたN-S-N接合系においても、超伝導秩序パラメータが時間的・空間的に変調した新奇非平衡超伝導状態の出現が期待される。
上述の可能性を理論的に探るためには、電圧駆動された非平衡超伝導体における超伝導秩序パラメータの時空間依存性を適切に記述できる理論が必要となる。このような目的のためには、現象論的な時間依存Ginzburg-Landau(GL)理論が広く用いられてきたが、この理論枠組みでは準粒子の非平衡エネルギー分布が超伝導状態に与える影響を適切に調べることができない。この問題に対し、我々は非平衡Green関数法を用い、時間依存GL理論の欠点を克服した時間発展方程式をモデルハミルトニアンより導出した。導出した方程式を数値的に解くことにより、電圧駆動非平衡超伝導体では、磁場中の超伝導体におけるFulde–Ferrell–Larkin–Ovchinnikov(FFLO)状態に類似した、超伝導秩序パラメータが空間的に変調した非一様超伝導状態が実現しうることを明らかにした。本講演では、この「電圧誘起非平衡FFLO状態」が、超伝導体中の電子の非平衡エネルギー分布に由来することを説明する。
[1] K. E. Gray, ed., Nonequilibrium Superconductivity, Phonons, and Kapitza Boundaries (Plenum press, New York and London, 1981).
[2] T. Kawamura, Y. Ohashi, and H.T.C. Stoof, Phys. Rev. B 109, 104502 (2024).
[3] M. C. Cross and P. C. Hohenberg, Rev. Mod. Phys. 65, 851 (1993).
宣伝用ビラ
KMB20240628.pdf(32)
物性セミナーのページ
http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/KMBseminar/wiki.cgi/BusseiSeminar
2024-6-7
2024年 夏学期 第6回 物性セミナー
講師 光元 亨汰 氏 (東大総合)
題目 柔らかい多孔性結晶における分子吸脱着転移
日時 2024年 6月 7日(金) 午後4時50分-6時15分程度
場所 16号館 827 およびオンライン
物性セミナーMLに登録されている方は、セミナー案内メールでZoomアドレスを通知します。登録のない方は、以下で予め登録をお願いします。(自動的に物性セミナーMLへ登録されます。)
登録フォーム https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdT67ZsTDiKsvutP59tY4tOUlx4WTInMKkTQIGWLqYCrPAQKA/viewform
アブストラクト
金属イオンに有機分子が配位結合して構成される結晶は金属有機構造体(Metal-Organic Framework, MOF)と呼ばれ、ガス貯蔵・分離等の機能を持つ多孔性材料として注目されている。中には、分子吸着によって大きな変形を示すほど柔らかな結晶構造を持つ物質も多く存在する[1]。この時、吸着はラングミュア的ではなく、大きなヒステリシスを伴う強い一次転移的な振る舞いを示す。この現象を利用した工学的な応用開発が盛んに行われている。しかし、何故このような協力現象が生じるかについての理解については不十分なままであった。我々は、分子吸着によって細孔の大きさと硬さが変化するということに着目し、統計力学的な模型を構築した[2]。そして数値シミュレーション行った結果、この模型がヒステリシスを伴う吸脱着転移を再現することがわかった。また、吸着質の吸着分布が弾性の不均一性に支配されていることがわかり、これが大きなヒステリシスを生み出すことを見出した。本セミナーでは、上記について詳細に議論するとともに、この模型が示す超格子秩序や[3]、吸着時に示す非平衡ダイナミクス[4]についても議論したい。
[1] S. Horike, S. Shimomura, and S. Kitagawa, Nat. Chem. 1, 695–704 (2009).
[2] K. Mitsumoto and K. Takae, Proc. Nat. Acad. Sci. 120, e2302561120 (2023).
[3] K. Mitsumoto and K. Takae, Phys. Rev. Research 6, L012029 (2024).
[4] K. Mitsumoto and K. Takae, in preparation.
宣伝用ビラ
KMB20240607.pdf(45)
物性セミナーのページ
http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/KMBseminar/wiki.cgi/BusseiSeminar