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物性セミナー/2025-5

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2025-5-23

2025年 夏学期 第4回 物性セミナー

講師 徳本 有紀 氏 (東大生産研)

題目 ファンデルワールス層状準結晶の超伝導

日時 2025年 5月 23日(金) 午後4時50分-6時15分程度

場所 16号館 827 およびオンライン

オンラインで参加される方へ:

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登録フォーム https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdT67ZsTDiKsvutP59tY4tOUlx4WTInMKkTQIGWLqYCrPAQKA/viewform

アブストラクト

準結晶は、準周期的並進秩序と5回対称、10回対称などの結晶に許されない回転対称性で特徴づけられる原子配列秩序をもつ物質である。これまでに100を超える合金系で発見されている。超伝導を示す準結晶は2018年に初めて発見され[1]、これに触発され、理論研究が多く行われており、結晶と異なる準結晶特有の超伝導特性発現の可能性が示されている。しかし、2018年に発見された超伝導準結晶は転移温度が50 mKと極端に低いため、理論予測されている準結晶特有の超伝導特性を実験的に検証することは難しい。我々は最近、熱力学的に安定なTa–Te系ファンデルワールス層状準結晶[2]について、~1 Kで超伝導転移を観測した[3]。本講演では、電気抵抗[3]、上部臨界磁場[3,4]、磁化率[3]、比熱などの実験結果を中心に紹介する。

参考文献

[1] K. Kamiya et al., Nat. Commun. 9 (2018) 154.

[2] M. Conrad et al., Angew. Chem. Int. Ed. 37 (1998) 1383.

[3] Y. Tokumoto et al., Nat. Commun. 15 (2024) 1529.

[4] T. Terashima et al., npj Quantum Mater. 9 (20224) 56.

宣伝用ビラ

KMB20250523.pdf(13)

物性セミナーのページ

http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/KMBseminar/wiki.cgi/BusseiSeminar

2025-5-16

2025年 夏学期 第3回 物性セミナー

講師 國見 昌哉 氏 (東京理科大理)

題目 漸近的量子多体傷跡状態の系統的な構成法と超対称性量子力学との関係

日時 2025年 5月 16日(金) 午後4時50分-6時15分程度

場所 16号館 827 およびオンライン

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アブストラクト

量子多体傷跡状態(quantum many-body scar, QMBS)は、非可積分な量子多体系において固有状態熱化仮説を破る特殊なエネルギー固有状態として注目されている。近年、その関連状態として「漸近的量子多体傷跡状態(asymptotic quantum many-body scar, AQMBS)」が提案された [1]。この状態では、エネルギーの分散の期待値が熱力学極限でゼロに収束することから、非エルゴード的な緩和現象を示すことが報告されている。また、Nambu-Goldstoneモードとの関連も指摘されており [2]、孤立量子系の熱平衡化と自発的対称性の破れの関係に新たな視点をもたらす興味深い結果となっている。しかしながら、AQMBSはこれまで発見法的に構成されており、系統的な構成法は知られていなかった。我々は、こうしたAQMBSを系統的に構成する新たな手法を提案した [3]。本手法は、restricted spectrum generating algebra [4,5] や symmetry based formalism [6] に加え、ハミルトニアンの構造が一定の条件を満たすという仮定のもとで、AQMBSを、QMBSを基底状態に持つparent ハミルトニアンの低エネルギーギャップレス励起状態として得るというものである。また、本手法が適用可能な系では、自然にN=2超対称性量子力学の代数関係が満たされることも示した。本セミナーでは、本手法の詳細と、具体的な模型への適用例を紹介する。

参考文献:

[1]L. Gotta et al, Phys. Rev. Lett. 131, 190401 (2023).

[2]J. Ren et al., Phys. Rev. B 110, 245101 (2024).

[3]MK, Y. Kato, and H. Katsura, arXiv:2505.04853 (2025).

[4]D. K. Mark et al, Phys. Rev. B 101, 195131 (2020).

[5]S. Moudgalya et al, Phys. Rev. B 102, 085140 (2020).

[6]N. O'Dea et al, Phys. Rev. Res. 2, 043305 (2020).

宣伝用ビラ

KMB20250516.pdf(39)

物性セミナーのページ

http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/KMBseminar/wiki.cgi/BusseiSeminar

2025-5-9

2025年 夏学期 第2回 物性セミナー

講師 川野 雅敬 氏 (東大総合文化)

題目 強相関電子系における非平衡緩和ダイナミクス

日時 2025年 5月 9日(金) 午後4時50分-6時15分程度

場所 16号館 827 およびオンライン

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アブストラクト

非平衡ダイナミクスは通常、初期条件や系の詳細に依存した複雑な振る舞いを示す。しかし熱平衡状態への非平衡緩和ダイナミクスは例外的に、系の保存則のみで定まる普遍的な振る舞いを示すことが知られており、特に近年は冷却原子系で実現可能なダイポール保存則による異常拡散ダイナミクスが盛んに研究されている[1-3]。ダイポール保存則は人工的に電荷の移動に強い拘束条件を課すことで実現するが、我々はこのような拘束条件が強相関電子系において極めて自然に現れることに着目した。強い電子相関の下では電子は単独で動くことはできず、電子相関によるエネルギー損失を最小化するよう必ず他の電子と協調して動く。この拘束条件により隠れた保存則が現われ、非平衡緩和ダイナミクスを大きく変えることが期待される。そこで本研究では、カゴメ格子拡張ハバード模型の強相関極限における非平衡緩和ダイナミクスをセル・オートマトン回路模型と場の理論を用いて解析した。その結果、強い電子相関由来の隠れた保存則が非従来型の電荷およびスピンの非平衡緩和ダイナミクスをもたらすこと、それが動的構造因子中の特徴的なドーム構造として現れることを明らかにした[4]。本セミナーではこの結果の詳細を紹介する。

参考文献:

[1] A. Gromov et al., Phys. Rev. Research 2, 033124 (2020).

[2] J. Feldmeier et al., Phys. Rev. Lett. 125, 245303 (2020).

[3] A. Morningstar et al., Phys. Rev. B 101, 214205 (2020).

[4] M. Kawano et al., Phys. Rev. B 109, L121111 (2024).

宣伝用ビラ

KMB20250509.pdf(21)

物性セミナーのページ

http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/KMBseminar/wiki.cgi/BusseiSeminar