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物性セミナー/2024-5

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2024-5-24

2024年 夏学期 第5回 物性セミナー

講師 輕部 修太郎 氏 (京大化研)

題目 交差磁性に基づくスピントロニクス

日時 2024年 5月 24日(金) 午後4時50分-6時15分程度

場所 Zoomによるオンライン開催

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登録フォーム https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdT67ZsTDiKsvutP59tY4tOUlx4WTInMKkTQIGWLqYCrPAQKA/viewform

アブストラクト

近年、強磁性、反強磁性に次ぐ第3のフェロイック磁性として交差磁性(altermagnetism)が注目を集めている。本磁性は反強磁性の仲間でありながら、結晶の低い対称性に起因した時間反転対称性の破れによって、巨大なスピン分裂を生じる。そのため、波数依存の強磁性とみなす事ができ、強磁性、反強磁性の利点をかけ合わせたエキゾチックな磁性として期待されている。 我々はこのような特徴を活かし、電気伝導性を有し、かつ1 eVものスピン分裂を持つ交差磁性体であるRuO2に着目し、スピン流生成現象の研究を行ってきた。スピン流はMRAMなどの磁気デバイス原理の根幹を成す垂直磁化の反転を引き起こす事ができる。しかしながら、これまでスピン軌道相互作用によるスピン流生成(スピンホール効果)ではスピン偏極方向が印加電流方向に依存してしまうため、磁化反転の対称性を破る事ができず、補助的な外部磁場が必要であるという応用上の大きな壁となっていた。一方、交差磁性によるスピン流生成(スピンスプリッター効果)はネールベクトル依存のスピン偏極スピン流を生成可能であるため、本現象により我々は外部磁場フリーの垂直磁化反転の実証に成功した。本講演では、交差磁性を既存フェロイック磁性と比較しながら導入し、スピン流生成現象やその他の興味深いスピントロニクス機能を紹介する。

宣伝用ビラ

KMB20240524.pdf(60)

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http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/KMBseminar/wiki.cgi/BusseiSeminar

2024-5-17

2024年 夏学期 第4回 物性セミナー

講師 中川 大也 氏 (東大理学研究科)

題目 量子フィードバック制御のトポロジー

日時 2024年 5月 17日(金) 午後4時50分-6時15分程度

場所 16号館 827 およびオンライン

オンラインで参加される方へ:

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アブストラクト

トポロジーを用いた物質相の分類は近年の物性物理学における中心的なテーマのひとつである。例えば、エネルギーギャップの開いた量子多体系の基底状態はトポロジカル秩序あるいは対称性に保護されたトポロジカル相という概念によって分類される[1]。このような基底状態における静的な相の分類に留まらず、トポロジーの概念は非平衡ダイナミクスに対しても適用することができる。実際に、外場による周期駆動系[2]や非エルミート開放系[3]において、平衡状態では現れない非平衡系特有のトポロジカル相が現れることが明らかとなっている。本セミナーでは、量子フィードバック制御を記述する量子チャンネルにトポロジーを導入することによって、フィードバック制御で実現される非平衡トポロジカル相の新たなクラスについて述べる[4]。具体例として、フィードバック制御によってカイラル・ヘリカルな量子輸送を引き起こすトポロジカルMaxwellデーモンを構成する。このようなトポロジカルなフィードバック制御は、トポロジーを用いた量子操作の特徴づけを与えるのみならず、非平衡トポロジカル相を安定的に創成・制御する手段を与えることが期待される。

参考文献:

[1] X. Chen, Z. C. Gu, Z. X. Liu, and X. G. Wen, Phys. Rev. B 87, 155114 (2013).

[2] T. Kitagawa, E. Berg, M. Rudner, and E. Demler, Phys. Rev. B 82, 235114 (2010).

[3] Z. Gong, Y. Ashida, K. Kawabata, K. Takasan, S. Higashikawa, and M. Ueda, Phys. Rev. X 8, 031079 (2018).

[4] M. Nakagawa and M. Ueda, arXiv:2403.08406.

宣伝用ビラ

KMB20240517.pdf(36)

物性セミナーのページ

http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/KMBseminar/wiki.cgi/BusseiSeminar

2024-5-10

2024年 夏学期 第3回 物性セミナー

講師 川田 拓弥 氏 (東大総合)

題目 圧電弾性波による金属薄膜中の電磁応答

日時 2024年 5月 10日(金) 午後4時50分-6時15分程度

場所 16号館 827 およびオンライン

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アブストラクト

固体表面に局在した振動モードである表面弾性波(Surface Acoustic Wave, SAW)は、その進路上の物質にマイクロ波帯域のコヒーレントな格子振動・回転運動を誘起できる特徴的な外場である。SAWの励起には、圧電基板上に作製されたくし型の電極に共鳴周波数の高周波電圧を印加する手法が用いられることが多く、この場合交流電場と弾性波が圧電効果を介して結合したモードとなっている。近年の研究では、SAWの進路上に薄膜試料を作製することで、SAWの力学的自由度と電荷・スピンとの結合に由来する種々の新奇現象[1-3]が報告されている。その一方で、SAWに付随して伝搬する”遅い”交流電場が伝導電子に与える影響は十分には明らかにされていなかった。本セミナーでは、我々が取り組んできたSAWと金属ヘテロ薄膜を用いた研究について紹介し、SAWの交流電場の性質について議論する。SAWに追随する電場は、非常に位相速度が遅いながらも磁場と結合して伝搬する横波であり、したがって厚みが十分に小さい導体薄膜中にはほぼ一様に侵入できると推測される。導体薄膜中の交流電場の様子を調べることは困難であるが、我々は非磁性/強磁性ヘテロ構造にSAWを照射した際に特異な直流起電力が生じることを見出し[5,6]、スピントロニクス分野の知見と紐づけて、導体薄膜中にほぼ一様に電場が侵入していると結論付けた。本研究は電子と力学的自由度(SAW)の結合について新しい視点をもたらすものである。

参考文献:

[1] D. Kobayashi et al., Phys. Rev. Lett. 119, 1 (2017)

[2] M. Yokoi et al., Sci. Adv. 6, eaba1377 (2020)

[3] P. Zhao et al., Phys. Rev. Lett. 128, 256601 (2022)

[4] T. Kawada et al., Phys. Rev. B 99, 184435 (2019)

[5] T. Kawada et al., Sci. Adv. 7, eabd9697 (2021)

宣伝用ビラ

KMB20240510.pdf(41)

物性セミナーのページ

http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/KMBseminar/wiki.cgi/BusseiSeminar