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物性セミナー/2024-12

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2024-12-13

2024年 冬学期 第7回 物性セミナー

講師 井口 敏 氏 (東北大 金属材料研究所)

題目 磁気光学効果が検出する有機反強磁性体の交替磁性

日時 2024年 12月 13日(金) 午後4時50分-6時15分程度

場所 Zoom によるオンライン配信

物性セミナーMLに登録されている方は、セミナー案内メールでZoomアドレスを通知します。登録のない方は、以下で予め登録をお願いします。(自動的に物性セミナーMLへ登録されます。)

登録フォーム https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdT67ZsTDiKsvutP59tY4tOUlx4WTInMKkTQIGWLqYCrPAQKA/viewform

アブストラクト

近年,交替磁性体と呼ばれる少し不思議な磁性体が注目されている.これは反強磁性体の一種であるが強磁性体のように振る舞うこともあるため,磁性が弱い有機物質でも新しい物性開拓が期待される.また,今までそう認識されていなかっただけで,既知の反強磁性体にもそれに該当するものが多い.有機反強磁性ダイマー-モット絶縁体 κ-(BEDT-TTF)2Cu[N(CN)2]Cl (κ-Cl) も同様で,1990年代には知られていたが,交替磁性と名前が付く前,2019年に中らが[1]その特徴的なスピンバンド構造とそこからスピン流が発生し得ることを理論的に示唆した.その最大の特徴はσk_x k_y型に分裂した異方的なスピンバンドである.さらにスピン軌道相互作用が働けば,反強磁性体であるにも関わらず異常ホール効果や磁気光学カー効果(MOKE)を生じる可能性も指摘された[2].そこで,我々はκ-Cl の交替磁性を実証すべくMOKEスペクトルの測定を行おうとした.が,そこには問題が山積みだった.まず,この物質は直方晶なのだが,異方性物質でのMOKEの測定法があまり確立されておらず,さらに,仮にMOKEを測定できたとしても,それから非対角の光学伝導度/誘電率を求める手段が不明であった.そこで我々は,古典的ではあるが,正確に異方性を考慮した物質中や反射時の光に関するMaxwell方程式を解くことでそれらを解決し[3],κ-Clに適用した.その結果,κ-Cl の交替磁性を示唆するMOKEだけでなく,ピエゾ磁気効果との関連や,反強磁性のNéelベクトルと強磁性の磁化ベクトルの対応関係を暗示する興味深い非対角光学伝導度スペクトルを得た[4].

参考文献:

[1] M. Naka et al., Nat. Commun. 10, 4305 (2019).

[2] M. Naka et al., Phys. Rev. B 102, 075112 (2020).

[3] S. Iguchi et al., JPS Conf. Proc. 38, 011148 (2023).

[4] S. Iguchi et al., arXiv.2409.15696.

宣伝用ビラ

KMB20241213.pdf(14)

物性セミナーのページ

http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/KMBseminar/wiki.cgi/BusseiSeminar

2024-12-6

2024年 冬学期 第6回 物性セミナー

講師 冨田 知志 氏 (東北大学 高度教養教育・学生支援機構)

題目 時空間変調メタマテリアルと人工移動媒質

日時 2024年 12月 6日(金) 午後4時50分-6時15分程度

場所 16号館 827 およびオンライン

オンラインで参加される方へ:

物性セミナーMLに登録されている方は、セミナー案内メールでZoomアドレスを通知します。登録のない方は、以下で予め登録をお願いします。(自動的に物性セミナーMLへ登録されます。)

登録フォーム https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdT67ZsTDiKsvutP59tY4tOUlx4WTInMKkTQIGWLqYCrPAQKA/viewform

アブストラクト

天然物質に存在し難い物性を示す人工構造物質をメタマテリアルと呼ぶ。本講演では物性の中でも特に電磁気応答に着目した、電磁メタマテリアルを扱う。電磁メタマテリアルは、これまで負の屈折率や不可視化クロークなどを実現してきた。これらは空間的に誘電率や透磁率を変調する、いわば空間変調メタマテリアルであった。これに対して近年、誘電率や透磁率を時間的に変調する時間変調メタマテリアルが盛んに研究されている。更に最近理論的に示された、時間変調と空間変調を同時に施した時空間変調メタマテリアル(時変グレーティング)が、実際は動いていないにも関わらず、さも動いているかのように光に対して振舞う「人工移動媒質」として機能し、それを舞台に量子電磁気学的効果が観測できる可能性[1]は興味深い。本セミナーでは、空間変調したメタマテリアル[2,3]やメタ表面[4]を用いた人工移動媒質効果に関する研究を紹介したのち、時空間変調メタマテリアルの実現に向けた我々の最近の実験結果[5]について議論したい。

参考文献:

[1] J. B. Pendry and S. A. R. Horsley, APL Quantum 1, 020901 (2024).

[2] S. Tomita et al., Phys. Rev. Lett. 113, 235501 (2014); J. Phys. D: Appl. Phys. 51, 083001 (2018).

[3] K. Mita et al., arXiv:2406.19046.

[4] T. Kodama et al., Opt. Mater. Expr. 14, 2499 (2024).

[5] T. Kodama et al., Phys. Rev. Appl. 19, 044080 (2023); Phys. Rev. B 109, 214419 (2024).

宣伝用ビラ

KMB20241206.pdf(32)

物性セミナーのページ

http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/KMBseminar/wiki.cgi/BusseiSeminar