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物性セミナー/2022-12

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2022-12-16

2022年 冬学期 第6回 物性セミナー

講師 今田 正俊 氏 (豊田理研/早大理工学術院)

題目 分数化と高温超伝導、量子スピン液体

日時 2022年 12月 16日(金) 午後4時50分

場所 対面(16号館 829 ・・・いつもと違う部屋に注意)およびオンライン

・オンライン参加の方へ:物性セミナーMLに登録されている方は、セミナー案内メールでZoomアドレスを通知します。登録のない方は、以下で予め登録をお願いします。(自動的に物性セミナーMLへ登録されます。)

登録フォーム https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdT67ZsTDiKsvutP59tY4tOUlx4WTInMKkTQIGWLqYCrPAQKA/viewform

アブストラクト

真空中で素粒子である電子が物質中で分数化する例はポリアセチレンソリトンや分数量子ホール効果で知られている。銅酸化物の超伝導やモット絶縁体における量子スピン液体では、これらとも異なる分数化の様相が強相関電子系のために開発された第一原理計算などももとに現実物質に即して明らかとなってきた。この過程では複数の分光実験データ統合解析や機械学習の手法適用も威力を発揮するようになってきた。これらの現状についてお話しする。

宣伝用ビラ

KMB20221216.pdf(28)

物性セミナーのページ

http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/KMBseminar/wiki.cgi/BusseiSeminar

2022-12-9

2022年 冬学期 第5回 物性セミナー

講師 桐谷 乃輔 氏(東大総合文化)

題目 分子が誘う原子層物質の変化あれこれ

日時 2022年 12月 9日(金) 午後4時50分

場所 対面(16号館 829室・・いつもと違う部屋に注意)およびオンラインによるハイブリッド

・オンライン参加の方へ:物性セミナーMLに登録されている方は、セミナー案内メールでZoomアドレスを通知します。登録のない方は、以下で予め登録をお願いします。(自動的に物性セミナーMLへ登録されます。)

登録フォーム https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdT67ZsTDiKsvutP59tY4tOUlx4WTInMKkTQIGWLqYCrPAQKA/viewform

アブストラクト

原子層物質は、近年話題の物質群の総称である。その物質群の一つである"graphene"や" MoS2"でWeb of Science を用いて原著論文数を検索すると、2022 年11 月にそれぞれ314,278 件および43,128 件もの論文が報告されている。各学会においてもこの物質群を扱うセッションが立ち上がり、注目の物質群であることが伺い知れる。2 次元状の1 nm よりも薄い骨格に由来する量子性、この薄さでも数百 cm2 V-1 Sec-1の潜在的な高キャリア移動度、機械的な堅牢性、透明性を併せ持つことから、理学−工学を跨いで物質科学を革新する可能性がありそうである。この原子層物質の機能開拓を進めるためには、電子状態を変えつつ制御をする必要がある。つまり、キャリア濃度を変調し、フェルミ準位を制御し、さらに物質相の制御を行う必要がある。本発表では、我々が注目をしている分子化学的な視点から原子層物質を操作する物質−デバイス科学・工学について、紹介をさせて頂く。我々は原子層物質として主に遷移金属カルコゲナイド(TMDC)に注目をしている。遷移金属原子(M)としてMo やW、カルコゲン系原子(X)としてS やSe を構造に有し、MX2の化学構造で表される。このTMDC群は、バンドギャップを有したり、極薄の結晶格子がゆえに室温でも準粒子が観測できたり、電子状態を強く変調すれば相転移を示したり、など物性のバラエティに富んでいる。その豊かな物性を強く変化をさせて機能として利用したいと考えている。我々が注目している方法は、分子性の溶液を表面に塗ることで(だけで)電子状態を変える取り組みである。従来の半導体デバイス工学では、分子はコンタミ(汚染物)として忌み嫌われてきたが、我々の感触では分子を適切に選べば有効な変調手法になりそうな感覚を得ている。例えば、半導体のMoS2に対して、鼻薬として還元状態のバイオロゲン分子をかけると、勝手に(自発的に)相互作用を示し、TMDCは半導体から金属状態への変化を示す[1]。他にも、無機分子であるAuCl3は、MoS2と勝手に相互作用を示し、MoS2の極性をn 型からp 型へと変化を誘引する[2]、と同時に、C3 対称性を持った金の1Dナノワイヤを自発的に形成する。等方的な形ではなく、1D構造の自発成長は興味深く、溶液を使った自発的なプロセスならでは、と言えそうである。上述のように、単に分子性物質を接合するだけでなく、もう少し複雑性を取り入れた研究も最近進めている。身の回りを眺めると、自然界では自発的に形成されるパターンが山のように見られる。たとえば、多様な幾何学形状を示す雪の結晶、シマウマなどの体表面で見られる模様などもその一つである。これらの現象は、自然に(勝手に)秩序が生じて周期構造やパターンが形成される。我々はこの自発的なパターン現象を半導体表面で起こせないか、という検討を進めている。自然現象が示すほど美しいパターンの発現には成功していないが、数百nm 程度の電子構造の接合は作れそうな手応えを得ている[3]。このパターンは、自発的に形成される無限のpn接合の集まり、として機能化できないものか、現在も探っている。他にも原子層半導体の発光強度を数百倍に増強したり、と分子を塗りつけることは、想像以上の効果がありそうな気配がある[4]。当日は最近の結果を含めて、分子化学的の融合により得られる原子層物質の状態変化について、話をさせて頂く。

参考文献

[1] K. Matsuyama, et al., ACS Appl. Mater. Int., 14, 8163 (2022).: D. Kiriya et al., J. Am. Chem. Soc.136, 7853 (2014).

[2] D. Kiriya et al., Adv. Funct. Mater. 25, 6257 (2015).

[3] H. Ichimiya et al., ACS Appl. Mater. Interfaces, 11, 15922 (2019). : H. Ichimiya et al., ACS NANO,12, 10123 (2018).

[4] D. Kiriya, D.-H. Lien, Nano Express, 3, 03002 (2022).

宣伝用ビラ

KMB20221209.pdf(28)

物性セミナーのページ

http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/KMBseminar/wiki.cgi/BusseiSeminar