Laboratory of Molecular Design and Molecular Evolution

大規模分子デザインで、生体分子機能の原理解明と次世代創薬に挑む

私たちは「化学」の力で多様な生体分子を創出し、分子多様性と生命機能の関係を体系的に理解するとともに、それらを分子レベルで精密に制御することを目指しています。特に、疾患の診断(可視化)から治療(制御)まで一貫して分子レベルでアプローチすることを理念とし、「疾患ケミカルバイオロジー」と「中分子モダリティ創薬」を軸に研究を展開しています。

 さらに近年は、化学、分子生物学、医科学に加え、自動合成・ハイスループット解析・データサイエンスを統合した大規模分子デザインにより、未踏の生体中分子空間における膜透過性や細胞機能制御の原理を解明し、革新的診断プローブや次世代創薬シーズの創出を目指しています。



1. 疾患ケミカルバイオロジー

疾患バイオマーカーの探索や疾患メカニズムの解明、早期診断を可能にする生体代謝イメージングの実現、さらに代謝に基づく創薬など、分子診断・医療に関する最先端の研究に取り組んでいます。

・疾患バイオマーカー探索
疾患の早期診断や治療薬開発における重要な課題の一つは、プロテアーゼなどの疾患特異的なバイオマーカーが著しく不足していることです。ペプチドライブラリーやDNAエンコーディング技術を活用した大規模代謝プロファイリングを基盤に、疾患や病態に応じたバイオマーカーの探索を進めています。

疾患代謝イメージング
疾患バイオマーカーの情報を基に、有機化学を駆使した分子設計と最新技術を融合し、疾患代謝イメージングの実現に向けた分子プローブの開発を推進しています。

2. 中分子モダリティ創薬

中分子は低分子と高分子の中間に位置する分子です。ペプチドや脂質などの中分子を効率的に合成する手法の開拓、高速スクリーニング系の構築、データサイエンスを駆使し、未解明の中分子機能の発見や中分子創薬の実現を目指します。

中分子ペプチド創薬
独自の分子設計技術に基づくペプチドおよびペプチドミメティクスの研究を通じて、中分子ペプチド創薬の実現を目指しています。また、DNAエンコーディング Peptide Libraryやデータサイエンスを活用した機能性ペプチドの創出を目指しています。

脂質ケミカルバイオロジー・創薬
脂質は生命に重要な第4の生体分子ですが、研究はまだ“未開地”が多く残されています。その理由は、脂質を自由に設計・合成する技術がなかったからです。私たちは、固相・自動合成×大規模化学で脂質を体系的にデザインし、未知の生体機能を解き明かすとともに、新しい脂質創薬に挑戦しています。