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Interview COG審査委員リレーインタビュー企画:
番外編1 奥村裕一 運営コーディネーター
「COGとは」

  • OKUMURA,
    Hirokazu

    奥村 裕一
    奥村 裕一 運営コーディネーター
    (一社)オープン・ガバナンス・
    ネットワーク代表理事
    元東京大学公共政策大学院客員教授
    インタビュー動画はこちら

COGとは

 チャレンジ!!オープンガバナンスの開催は、今年で5回目になります。私たちは「市民も変わる行政も変わるオープンガバナンス」をモットーに活動を続けていますが「オープンガバナンスって何?」という声も聞かれます。そこで、今回はオープンガバナンス、そしてCOGについて解説していきます。

――社会のウェルビーイングに向けて行政と市民がともに主役で協働することがオープンガバナンス

 オープンガバナンスとは、市民の皆さんと地域の行政の間でオープン――つまり行政の持っているデータや知識を市民と広く共有して――にコラボレーションし、市民が地域の課題を解決して希望の実現にアイデアを練り実行したりしていこう――行政はこういった市民の活動を支える縁の下の力持ちになろうという考え方です。より踏み込んだ言い方をすれば、市民自身が地域の課題を自分のこととして考え解決していく姿に期待を込めています。「行政におんぶにだっこで頼ればいいじゃないか」という声があることも承知しています。これを逆転して市民が自分の力でできることは自分たちで課題を希望に変えていこう、それには行政の持つデータや知識の共有――例えばオープンデータ――が基盤となり、同時に課題をめぐる柔軟なファシリテーションスキルが必要となっていく。これがますます複雑化するこれからの社会に求められるオープンガバナンスの在り方の柱なのです。

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 オープンデータという考え方は、もとはオバマ政権が始めたもの。2010年代前半から日本政府も取り入れるようになり、その流れの中で地方の自治体にも広がっていきました。ところがデータはたくさん出てきましたが、基本的に数字が羅列してあるばかり。もちろんそれを利用して例えばいろんな状況を地図上で見える化するエンジニアには有用なデータですが、一般市民にはとっつきにくいものです。そこで私たちが思ったのは、「このデータ群を課題解決に使っていけないか」ということ。このためにはデータから出発するのではなく、むしろ課題解決の過程の中でデータを使っていこうと順序を変えようと発想を逆転させたのです。そのためには課題を抱えている市民自身が主役になって考えていかないといけないと、COGを始めました。

 市民が主役になるメリットは、行政の目が届かないような地域の課題の解決にあたれること。行政職員がどんなに目を凝らしても限界はあり、市民の目から見るとまだ足りないと感じることも結構あります。社会が複雑になってきている中、その部分に手を伸ばすことがますます重要です。しかしまずは身近なところから進めていく、ゆくゆくは市民が地域課題の本丸に迫っていくというところまで到達していくことができるようになることが目標です。そのためにもまずは課題を抱える市民自身がデータを確認していく事が重要。課題を深掘りするためのデータは何だろうかと迫って、見つめなおしてくと色々なことが分かってくる。ただ、データだけで考えてもわからないことがあので、さらにその「人の心の彩」という部分を探っていけるようになれば、課題の解決に向けた道筋が見えてきます。

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――市民とエンジニア、行政の連携で3Dの活用の実現を

 市民のデジタルの活用が広がれば、オープンガバナンスのさらなる広がりが出てくるとも期待しています。というのも、オープンデータの最初はエンジニア中心で回っていました。ただ、エンジニアの中にも地域課題に詳しい人がいたけれど、どうしても「自分ごと」ではなく、市民が本当に抱えている課題に対しては距離があったという印象があります。では逆に、市民が中心となってデジタルを活用していけばどうでしょうか。実は私たち市民も、データを扱ったり色んな格好の中でデジタル技術を使ったりしています。さらにそれを深掘りし、そうする流れの中にプロのエンジニアが出てくるようになれば良いと思うのです。シミュレーション、アプリを作るというところまでいくと、なかなか市民だけでは困難ですから、エンジニアの本領発揮です。市民のデジタル感度を高めると思に、エンジニアとの出会いもオープンガバナンスを進めるうえでの大きな指針です。

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 最後に、私たちはCOGを過去4回行ってきた経験から得た、オープンガバナンスを達成するための4つ重要な要素をお伝えします。

①出会いの場の重要性

 従来の「市民はお客さん、サービスの受け手」という構図ではなく、「市民も公共的なサービスを提供し、行政がサポートする」という関係を構築するためには、意欲のある市民と行政が出会う場所が必要です。実際に活動がうまくいっているケースは、市民と行政が互いに本音でトークできています。市役所の窓口を通して「申請の手続きについて表面的なやり取りをする」という関係だけではうまくいきません。「同じ地域のこの課題をどうしていこう」という気持ちで新しい関係をつくるための、意欲を同じくする人同士の出会いは、普段の業務の中にはなかなかどうして難しいものです。そこで気づいたことは各地で地域アゴラがどんどん増えて欲しいこと。

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②多様な市民の関係

 一口に市民と言っても、オープンガバナンスの構図では市民は3タイプに分類されます。まずエンジニア系の「シビックテック」がデータ分析やシステム構築といったオープンガバナンスを支えになっています。そして社会貢献したいと考えている「活動に積極的な市民」そして「本当はニーズを抱えている一般的的な市民」です。モチベーションやスキルが違う市民が、一つの課題を解決するための関係を、良い格好で作っていくことが求められています。

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③自治体の幅広い担当の協力と求められる能力

 市民が多様なら、自治体にも多岐に渡る職務を担当する職員が存在します。データ、テック担当がオープンガバナンスには多く活躍しています。それと同時に、それ以外の方――現場で課題を抱えている課、市民担当、企画系――もそれぞれの職務に沿ったスキルや知識、市民との関係を持っています。それぞれ持ち味が違うので、その持ち味を生かせる関係が自治体の中で醸成されることも必要です。市民との関係では、最初に触れた①データや知識の市民との共有を前提に、②課題に対する鋭い感受性と市民たちとの柔らかなファシリテーションスキルが求められていくと思います。

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④オンラインの可能性

 現在、新型コロナウイルスの感染拡大防止としてオンラインやリモートが広がり、それとともに地域の取り組みは新しいステージに以降しつつあります。例えば私たちは感染対策として、イベントをオンラインで開催し、ファイナリストのプレゼンテーションを全国に中継しました。すると、遠隔にいらっしゃる方は参加できたと喜んでいただいたし、新しい人に観覧していただけました。この取り組みが奏功して、これまでの環境では参加がかなわなかった方が気軽に参加できるようになってほしいと期待しています。一方で、画面越しではなく実際に会いたいという気持ちもあるでしょう。そのリアルとリモートのハイブリットを考えていくことが、今後のアフターコロナの世界においても、プラスになる可能性を秘めていると考えています。

 COGは3D、つまり「データ分析」「デザイン思考」「デジタル技術」の重要性を謳っています。データ分析の本質は「課題のファクトを知る」、デザイン思考は「課題に直面する人の心を知る」そしてデジタル技術は「未来を広げていくツール」。この3要素のつながりで成り立っています。今この記事をご覧になっている皆さんにはインターネット越しにアイデアを考えてもらえば、新しいヒントも出て来るかもしれません。

 自治体のCOGのエントリーにあたっての地域課題の提示のコツはデザイン思考の「課題に直面する人=市民の心を知る」こと、つまり市民の側に立って課題を眺めてみることになります。それに関連する「課題のファクトを知る」データをつけることになります。

 秋になって市民・学生が課題解決のアイデアを練る際には「データ」で課題を確認し、「デザイン思考」で課題に直面する人の心を深く汲み取り、「デジタル技術」で将来の在り方を少し探ってみる、これが3Dの魅力です。ぜひ、オープンガバナンスの世界に飛び込んでみませんか。