研究には現地調査や実験費用、論文投稿料など様々な費用が必要です。事故からの時間の経過とともに研究資金繰りに大いに苦戦しています。
私の場合、大学から頂ける研究費は年間約30万円です[1]。その一方で、多くの方に読んでいただける論文の公開には、1報あたり約20万円が必要です[2]。
放射性物質の研究、特に帰還困難区域内の調査には皆様からのご支援が必要です。あたたかいご支援を賜りますようお願い申し上げます。
3,000円のご寄附で、放射性セシウムの分析ができます(1検体)。
5,000円のご寄附で、トリチウムの分析ができます(1検体)。
1万円のご寄附で帰還困難区域内の家屋の中のホコリの分析を1回行うことができます。
3万円のご寄付で帰還困難区域へ1往復分の移動費・調査1回分の防護服一式を用意することができます。
モニタリングポストの数値って信用できるの?(4分)
福島第一原発周辺の様子(帰還困難区域内)(53分)
本件のほか、3件の査読論文があります
福島第一原発南側の地下水に漏れ出ているトリチウムの論文を公開しました。詳しくはこちらや下記報道をご覧ください。本件のほか、3件の査読論文、1冊の書籍(共著)があります
海外から東京オリンピックのために訪問するアスリートや観客を対象として、日本滞在中に発生する被ばく量を見積もりました。東京オリンピックの全会場(札幌のマラソンコースを除く)の空間線量率を測定しています。(旧マラソンコース(東京都心, 42 km)、自転車のコース(244 km)も実走しています)。食材や水、そして航空機による被ばくについても測定・シミュレーションを行いました。詳しくはこちらをご覧ください。
福島第一原発事故直後(2011年4月)の大熊町や浪江町で採取した水試料について、3H, 90Sr, 129I/127I比, 134Cs, 137Csを測定した論文を公開しました。原発敷地外の3H(トリチウム)では、これまでに報告されてきた中で最も高い値(184 ± 2 Bq/L)を、大熊町夫沢地区で採水した表層水から確認しています。129I/127I比も同町で4.6 ± 0.4e-5 を確認しました。幸い90Srの放射能は低い値であったことも特徴的です。
論文はこちら
新品の装置は極めて高額のため、なかなか手が出せません。中古の装置(かつ共同利用)を駆使して、やっとこさまともな精度の分析が可能になりました。お時間いただいて申し訳ありませんでした。1試料の測定に約1.5日は要してしまいますが、最新機種のちょっと手前くらいの精度にまで到達できています。
「放射性物質はなんだかよくわからない...」そんな方を少しでも減らすべく、2011年からこぢんまりとしたお話会を続けてきました。そうしたらなんと!2019年でご参加くださった方が累積で1万人を超えました。ありがとうございました!科学、ひいては放射性物質にちょっとでも興味や関心を持ってもらえるよう工夫し続けていきます。
食品に含まれる放射性セシウムの特徴から、福島原発事故由来と事故以前のイベント(大気核実験やチェルノブイリ原発事故)を分けて分析した研究です。1945年以降世界中で大気核実験が行われ、また1986年にはチェルノブイリ原発事故が発生しました。これらの核実験や原発事故によって放出された放射性物質は世界中に拡散したため、残念ながら、日本の食材において完全に放射性セシウムが
含まれていないものを見つけることは困難です。一方で2011年の福島第一原発事故では、福島県を中心に甚大な被害を発生しました。しかし、その汚染には日本国内であっても地域差があります。そこで、食材の中に含まれる放射性セシウムが、どの程度
福島第一原発由来なのか、これを明らかにするには出来るだけ多くの食材と、高精度の分析が求められました。私たちは通常行う測定よりも遙かに高い精度で分析を行い、その結果をとりまとめ論文にして11月に公開したところ、
非常に大きな反響をいただきました。たとえば、Twitterでは1,699,587名のユーザーに知れ渡ったとの統計結果[3]が出ています。この数値は、世界的に権威ある科学雑誌「Scientific reports」の中でも55,291報中
185位の関心があった事を示しています。この論文はオープンアクセスといって、お金を払わなくても誰でも読める状態になっています(このための費用を寄附金から拠出させていただきました)ので、
ぜひ下記のリンクからご覧いただければ幸いです。(そのほか、放射性物質関係では3報の論文の公開が出来ました)
M. Hori, T. Saito, K. Shozugawa, Source evaluation of 137Cs in foodstuffs based on trace 134Cs radioactivity measurements following the Fukushima nuclear accident, Scientific reports, 2018.
2018年度は福島県に26回出張し、調査のために帰還困難区域に18回立ち入りしました。帰還困難区域は、残念ながら簡単に帰還することができない区域ですが、福島県内で発生した汚染土を貯蔵するための中間貯蔵施設の建設が進んでいたり、帰還困難区域内であっても特定の地域を復興の拠点として徐々に避難指示を解除していく、という方針が執られています。その大きな方針に対して測定が十分に追いついていない歯がゆい現状の中で、ご寄附によって防護の装備や移動費を確保し、測定を続けることが出来ました。測定には、ダスト、河川水、土壌、空間線量率、作物など多岐にわたり、分析項目も放射性セシウムをはじめ、放射性ストロンチウム、特殊な放射性ヨウ素、特殊なウラン、トリチウム、などがあります。結果は随時、自治体や関係する方、学会などでご報告していますが、作業中に収めた写真などは私のウェブサイトに掲載しています。帰還困難区域内の様子はうかがい知る機会も少ないと思います。現場では野生のイノシシと遭遇しながら調査を続けています。こういった現場があることを知っていただければ大変ありがたく思います。
現在進捗中の研究ですが、トリチウムをはじめとしたベータ線核種の分析精度をこれまでよりも一気に高めることが出来ました。近く成果を公開する予定です。
[1]研究機関や職位によって状況は大きく異なりますが、私の知る限りこれでも手厚い待遇です。
[2]Scientific reportsという雑誌の場合、掲載料金として1,790ドル(=約20万円)が必要です。
[3]2018年末時点。なおこの論文は2018年のScientific reportsのEarth Science分野で閲覧数32位となり年間TOP 100に選ばれました。