フッ素の特性を活かした機能性材料創出
含フッ素化合物の新しい反応を開拓し、フッ素がもつ特性を有機材料と複合化した化合物の創生を目指しています。
機能性フッ素ポリマーの開発
汎用的なフッ素ポリマーの中間原料を利用し、耐光性・非接着性・電気絶縁性に優れた新材料の開発を目指しています。 Koyama, M.; Akiyama, M.*; Kashiwagi, K.; Nozaki, K.; Okazoe, T. Macromol. Rapid Commun., 2022, 43, 2200038.
全フッ素化キュバンの合成と物性調査
立方体型分子であるキュバンの全ての炭素にフッ素が置換した全フッ素化キュバンは、立方体骨格の内部に電子を捕捉することが予想されており、当研究室ではフッ素ガスを用いて世界で初めて全フッ素化キュバンの合成に成功し、内部に電子を閉じ込めることに成功しました。 全フッ素化キュバンの特徴的な性質を解明するとともに、この分子を用いた新たな機能性材料の開発を目指しています。 Sugiyama, M.; Akiyama, M.*; Yonezawa, Y.; Komaguchi, K.; Higashi, M.; Nozaki, K.; Okazoe, T., Science, 2022, 377, 756–759.
テトラフルオロエチレンを用いたオレフィンメタセシスのための触媒開発
オレフィンメタセシスはオレフィンの二重結合を組みかえる反応であり、2005年ノーベル化学賞の受賞対象となった反応です。 しかしフッ素原子が直接結合したオレフィンのメタセシスは進行しづらいと言われてきました。 当研究室では、工業的に比較的安価であるテトラフルオロエチレンを用いたオレフィンメタセシスの反応開発をしています。これまでに、7員環配位子を有するルテニウム錯体(Ru7)が、従来の触媒を100倍以上上回る活性を示すことを見出しました。 このプロセスで生成する1,1-ジフルオロエチレン類は環境低負荷な冷媒や高分子の原料、医薬品として有用であることが知られているため、新たな機能性材料の創出につながることが期待されます。 K. Mori, M. Akiyama*, K. Inada,Y. Imamura, Y. Ishibashi, Y. Takahira, K. Nozaki*, T. Okazoe, J. Am. Chem. Soc., 2021, 143, 20980–20987.
選択的フッ素化のための求電子フッ素化剤の開発
有機フッ素化合物は医薬や農薬の分野で重要な役割を果たしています。
医農薬の開発においてはフッ素原子の化学、位置および立体選択的な導入が要求されます。
当研究室では、フッ素ガスを用いて、選択的なフッ素原子の導入のための新しい求電子フッ素化剤の開発を行っています。
例えば新たに開発した求電子フッ素化剤Aを用いると、汎用の求電子フッ素化剤では達成が難しかったシリルエノールエーテルのカルボニルα位の選択的モノフッ素化が、効率よく進行することを見出しています。
A. Adachi, K. Aikawa, Y. Ishibashi, K. Nozaki, T. Okazoe Chem. Eur. J., 2021, 27, 11919–11925.
Y. Oe, R. Yoshida, A. Tanaka, A. Adachi, Y. Ishibashi, T. Okazoe, K. Aikawa*, T. Hashimoto*, J. Am. Chem. Soc., 2022, 144, 2107–2113.