物性デザイン

Material Design

現在の超高度情報化社会を下支えするシリコン集積回路の微細化限界の打破・延命に向けて、シリコンへの発光機能付与が要求されています。
わたしたちは体感型量子光物性研究を通して、シリコン上への新規結晶成長による光機能化に関する応用研究を進めています。
超高真空環境下で材料(Si, Ge, Ga, Sb, In, As, Ca など)をルツボに入れて加熱制御することで、単原子層レベルでの結晶成長を行います。
清浄な表面を形成したシリコンウェハを成長基板として、シリコン上に量子井戸、量子ドット、超格子構造を作製しています。
またCaのサーファクタント・インターカラント機能を利用することで新規原子層構造形成も試みています。
結晶成長過程は電子線の回折パタン(RHEED)のその場(in-situ)観察からモニタし、所望の人工構造を構築します。
結晶性評価は原子間力顕微鏡による表面構造観察・走査型トンネル顕微鏡による原子像観測・X線回折などにより行い、光学計測による光機能発現に関する研究を進めています。

光物性・量子光学

Materials & Quantum Optics

フォトン(光子)は新奇な量子現象を探るプローブであり、またある時は量子効果そのものがフォトンの発生・検出・制御を可能にします。
わたしたちは光学実験を通して、作製した結晶の機能、非線形光学効果を利用した量子エンタングルメント生成などに関するアイディアの実証・検証を行っています。
ダイナミクス追跡にはフェムト秒レーザー(Yb:KGW, Ti:Sapphire)+光学遅延ラインによるポンププローブ法、サブナノ秒パルスレーザー(Nd:YAG, 532nm, 1064nm等複数)と単一光子検出器による時間相関単一光子計数法などを用いて実験しています。
無冷媒型クライオスタット・超伝導マグネットを用いて4 ~ 500 Kの温度範囲、10 T磁場の環境下で測定可能です。
Blu-rayレーザーと非線形光学結晶を用いたパラメトリック下方変換と光学干渉計による相関光子対生成、多光子エンタングル状態を利用した量子精密計測も行っています。
光学系は各自のテーマにそって学生自身で組むことになり、必要に応じてFPGAなどを用いたパルス計数・モーター制御・光検出用の電子回路や、Labview, Pythonによる制御・解析プログラムの作成を行います。

ファイバオプティクス

Fiber optics

光回線に代表される高速情報通信では1300~1550 nm範囲の通信波長帯と呼ばれる光源と光ファイバベースの周辺光学素子が用いられ、応用展開を志向する上で大変重要な領域です。
わたしたちは量子光学発のゴーストイメージング手法をアレンジした、通信波長帯での新規信号再生手法に関する研究を進めています。また本手法は圧縮センシングや機械学習との融和性が高く、これらのアルゴリズムを用いて 従来の信号再生技術を超えるゴーストプロトコルの進化系を模索中です。
波長多重通信技術との融合・周波数基底拡張を見据えて、光コム発生に関する研究も進めています。

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