サブサハラ・アフリカにおける緑の革命の進展と貧困削減・パネルデータによる政策評価
サブサハラ・アフリカの経済は長い停滞を脱してようやく成長を始めた。同時に広汎にわたる農業生産性の上昇、すなわち緑の革命が始まった兆しも見える。そこで、アジアとの比較において、サブサハラ・アフリカの経済発展における緑の革命の役割を解明することが本研究の目的である。研究代表者と研究分担者は、ウガンダ、モザンビーク、タンザニア、ガーナ、セネガル、ケニアですでに稲作農家を対象とした家計調査を実施しており、本研究で同じ農家を再調査することにより独自のパネルデータを作成する計画である。このデータを使えば、2 時点間を比較することで、緑の革命はどのような条件で起こっているのか、緑の革命は農家所得の向上と食糧供給の増大をもたらしたのか、という経済学的かつ実践的な問いに答えることが可能である。
市場制度の発達に関する比較経済発展史的研究:アフリカの米を例にして
生産と消費を結ぶ「市場」が効率的に機能すれば、農業の成長が貧困削減と経済発展につながる。本研究は、発展途上経済において、農産物市場の取引費用に影響し効率性を決定する「市場制度」を取り上げ、その実態や機能、帰結を解明し、改善に向けた提案を行う。特に農産物の品質と量を確保する様々な制度(垂直統合、品質検査、標準化等)に焦点をあてる。各地でどのような市場制度が存在しているか?市場制度がどのようにして農産物市場の効率化に貢献するか?なぜ時代や地域により異なる市場制度が現れるのか?これらの市場制度によって、生産者や消費者の行動や経済厚生にどのような影響が現れたのか?以上が、本研究の問いである。この問いに答えるため、多くの地域で主食である米を取り上げ、近年急速に稲作が普及しつつあるサブサハラ・アフリカを対象地域とする。米の主要生産国である日本およびアジアの経験を参考にする。
ザンビア:ショックに対する農家家計の短期的反応とレジリアンス
・科学研究費補助金基盤S・途上国における貧困削減と制度・市場・政策:比較経済発展論の試み・分担(2010年4月~2015年3月)
・科学研究費補助金基盤B・ 環境変動に対する農村地域の対処戦略とレジリアンスに関する研究・分担(2011年11月~2014年3月)
・総合地球環境学研究所プロジェクト・社会・生態システムの脆弱性とレジリアンス・分担(2006年4月~2012年3月)
ブルキナ・ファソ:長期データに基づく農家家計の貧困動態の分析
・総合地球環境学研究所プロジェクト・砂漠化をめぐる風と人と土・分担(2012年4月~)
・科学研究費補助金基盤S・途上国における貧困削減と制度・市場・政策:比較経済発展論の試み・分担(2010年4月~2015年3月)
・地球環境研究総合推進費・サヘル農家の脆弱性と土壌劣化の関係解明および政策支援の考察・代表(2003年4月~2006年3月)
・地球環境研究総合推進費・サブサハラアフリカの土壌扶養力の評価と維持・回復技術の開発・分担(1999年4月~2001年3月)