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InterviewCOG審査委員リレーインタビュー企画:
第11回 神原咲子 審査委員

――住民と行政がそれぞれの立場から地域の問題を共感できる場

 私は審査員に加わる前に、参加者としてCOGという取り組みに参加していました。そこで感じたこの取り組みの素晴らしさは、関わる人たちが各自の役割を果たしながらチャレンジしているということ。というのも、課題を提示してくる行政の立場からは、日頃の業務ではなかなか取り組めない「セクターを超えた連携」や「住民の協力」が必要な課題を挙げてくださっているんです。これは日頃の業務やタスクをこなしながら、問題意識をもって整理をしてくださっていないとできないことだと思うんです。一方でそれを読んだ住民はというと、「こんな解決の仕方があるんじゃないかしら」という地域なりの、そして自分なりの答えを持っていたりするんです。地域にあるいろんな産業や人材といった「資源」をしっかりと見ているし、それについて考えたり把握したりているというわけです。「行政だけが見ていて、住民が見えてない」という限定的な盛り上がりの構図じゃなくて、「住民や市民にも見えていて、行政の人たちと共感している」という問題をそれぞれの立場から取り組んでいくことができる場。私はCOGをそういうものなんじゃないかと捉えています。

――「入り口を広げる」と「深掘りする」 2つのフォローアップを

 COGのようなものがこれまでなかったかなと振り返ると、それは「パブリックコメント」だったり、やもすれば「苦情の電話」だったりなんていう形で表出していたように思えてなりません。住民を巻き込んだソリューションにつなげるという全くあたらしいアプローチこそがオープンガバナンスで、COGは、その入り口のような取り組みなんだろうなと期待しています。そして、これから必要になってくることは、COGへの参加が増えて広まっていくための「入り口を広げることへのフォローアップ」と、取り組みをさらに深掘りしていくという「玄関から次の部屋に進むためのフォローアップ」なのではないかと思っています。またその過程で、これからは各地でボランティアなどの形で行われている「あと一歩の取り組み」を可視化するということも、重要な課題かなと思っています。

――地域に隠れている知恵を、普遍的なグッドプラクティスへ

 課題を解決するために行われている活動なんだけど、言語化されないまま共有されたり改善されたりするチャンスを失っている「知恵」のようなものって、地域にありますよね。これを一つの事例として可視化してあげると、ほかの地域で「新しい施策として使える」とあちこちに波及していく「普遍的なグッドプラクティス」になっていくことだってあると思うんです。なので、今まであったようなことも含めて「これオープンガバナンスだよ」っていう位置づけをしてあげる=可視化することを、例えばオープンガバナンスの専門家でもいいし、COGそのものがするでもいいし、COGに参加してきた人やそのファンたちがやってあげることも必要かなと思っています。それは「こういう取り組みをやってもいいんだよ」というモデルや目印になるのではないかと期待しています。

――あなたの「いいな」を社会の「いいね」に

 例えば、ラジオ体操。毎朝実践することによって健康の面でもウォーミングアップになって生活リズムが整うし、地域の人たちと顔が合わせる機会があることで体調のチェックやコミュニケーションの場になる。夏休みなんかは友達とスイカを食べたり、一緒に遊びに出かける約束をしたりと、友達関係を円滑にしてくれたりもします。それって立派なオープンガバナンスですよね。わたし、ラジオ体操を開発したのってすごいことだと思うんです。そういう「市民が主体になれるちょっとした生活を良くする運動」がこれからの日本にいっぱいあるといいなと想像するとわくわくします。だから、COGは「自分はこれができるから参加する」ではなく「こんなことができたらいいな」からスタートして、意見をいうために使ってもらっていいんです。あなたの「いいな」を社会の「いいね」にしていくCOGという取り組みに、あなたも参加してみませんか?