東京大学 農学生命科学研究科 応用生命化学専攻

Research

「栄養・生命科学(Nutri-Life Science)」研究室では、“生命科学”、“栄養科学”、“食品科学”を包括的に研究することで生命の基本原理を理解するとともに、得られた基礎的な知見に基づいた応用研究を展開し、生命科学だけでなく栄養・食品分野にも貢献することを目指しています。

現在、我々は以下2つの研究テーマを中心に研究に取組んでいます。

【1. 骨格筋機能維持機構に関する研究】

超高齢化社会を迎える我が国において、健康寿命の延伸は最重要課題の一つです。健康維持に資する食品機能に注目し、特に骨格筋機能維持の分子機構を明らかにすることで、健康寿命の延伸に寄与することを目指しています。培養細胞や動物モデル、ヒトiPS細胞を活用し、以下の研究課題に取り組んでいます。

(1)骨格筋の機能維持に関与するシグナルや代謝基盤の解析

(2)運動、栄養素、食品成分による骨格筋機能維持の解析


【2. 糖・脂質代謝制御に関する研究】

我が国をはじめ肥満は世界レベルの問題です。肥満社会を克服するためには、生活習慣の改善に加え、エネルギー代謝、とくに糖・脂質代謝の分子機構を理解することが重要です。私たちは抗肥満効果を有する2つのホルモン分子(FGF21、FGF19)を中心した研究を展開しています。また、これらの抗肥満分子を制御する機能性食品成分のスクリーニング実験も行っています。培養細胞、遺伝子欠損マウスなど様々な方法を駆使して研究に取り組んでいます。


【3. コレステロール代謝制御機構に関する研究】

我が国の死因の1、2位を占めるがんと心血管疾患では、その病態に代謝異常が関与していることがよく知られており、代謝制御分子はこれら疾患の治療標的として注目されています。我々は、特にコレステロールを中心とした脂質代謝に着目し、脂質代謝制御の分子メカニズムを解明することで、これら疾患の克服の一助になることを目指すとともに、発症遅延や予防効果が期待できる食品成分等を探索しています。研究内容の詳細については、私たちの総説をご覧下さい(オープンアクセスですので、どなたでもご覧頂けます)。中でも、以下2つの視点から研究に取り組んでいます。

(1)細胞内コレステロール輸送及び細胞コレステロール感知機構の解析

(2)がんや心血管疾患を中心とした生活習慣病における多様なステロール分子の機能解析



「栄養・生命科学」研究室では、このような課題にチャレンジする意欲あるメンバーを募集しています。

“栄養・生命科学”研究に興味のある方は、こちらまでご連絡ください。

なお、本研究室は「食品生化学」研究室と共同でセミナー等を行うなど緊密な連携をとりながら研究を進めています。2016年度発足の新しい研究室ですが、教育・研究環境は充実しています。