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西林研究室/触媒反応工学
研究内容

(1) 遷移金属触媒を用いた新しい反応場・変換反応の開発

遷移金属塩、有機ヘテロ元素化合物及び有機金属化合物が関与した新しい触媒的有機単位反応並びに不斉合成反応の開発を行っています。その一つとして単一の金属を用いた単独の反応場ではこれまで達成できなかった独自性の高い新規触媒反応の開発を行っています。最近、われわれの研究グループは硫黄架橋二核ルテニウム錯体が単核の金属触媒ではなしえない特異な分子変換反応に有効な触媒となることを見出しました。この反応では二核金属間での電子の授受が鍵になっていると考えており、新しい触媒設計の指針を与えるものです。この反応は国際的に高い評価を受けており、学術雑誌の表紙として紹介されてます。またこの錯体触媒はすでに和光純薬工業(株)からmet-DIRUXとして市販されており、様々な分野での利用が期待されています。

硫黄架橋ニ核ルテニウム錐体を用いた時にのみ特異的に進行する新規触媒反応
図1-1 硫黄架橋ニ核ルテニウム錐体を用いた時にのみ特異的に進行する新規触媒反応


図1-2

図1-3


グリーンケミストリー
図1-4


また新規触媒反応を開発する上で金属上の電子状態を制御することは重要です。それを可能にするのが金属上の「配位子」です。これまでは電子供与性配位子の利用を中心に行われており、様々な有効な配位子が開発されました。しかし、逆の性質を持つ電子受容性配位子については、あまり注目されていませんでした。代表的な電子受容性配位子として一酸化炭素(CO)がありますが、これでは配位子の立体的・電子的修飾、二座配位子の合成は困難です。われわれの研究グループは高い電子受容能を持つことが知られているホスフィニン(phosphinine)に注目し、その遷移金属錯体の合成や触媒反応への応用を行っています。

Phosphinine
図1-5