東京大学大学院農学生命科学研究科 応用動物科学専攻

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研究内容

媒介昆虫の制御

当研究室が主な研究対象としているリーシュマニア症とマラリアは、昆虫によって媒介される感染症です。病原体を運ぶ昆虫を媒介昆虫(ベクター)といい、ベクターとヒトとの接触を遮断する、あるいはベクターを減少させることにより感染拡大の防止を目指すことを「ベクターコントロール」といいます。
リーシュマニア症は、ハエ目昆虫サシチョウバエの雌が、吸血時にヒトや動物に病原体である原虫を伝播します。サシチョウバエは世界でおおよそ900種ほど報告がありますが、それらすべての種がこのリーシュマニア症を媒介するわけではありません。国や地域の環境により生息するサシチョウバエの種は様々で、種によって生態が異なるので、どのサシチョウバエ種がリーシュマニア原虫を運ぶのか知ることが必要です。当研究室では、①サシチョウバエの分類、ベクター種の同定、②生態把握(嗜好性、季節消長、生息適地等)、③殺虫剤抵抗性機構の解明を基盤研究とし、地域ごとに最も適したベクターコントロールの確立を目指しています。地球規模の気候と生態系の変動は昆虫によって媒介される感染症の分布拡大、流行を容易に促すため、ベクターを良く知ることが、昆虫媒介性感染症抑制の鍵となります。

内臓型リーシュマニア症を媒介する
サシチョウバエ(Phlebotomus argentipes
バングラデシュでのサシチョウバエ調査風景