FAQ

1. 入試について

博士前期課程(修士課程)の入試について説明して下さい。

医療イノベーションコースはメディカル情報生命専攻に帰属しますが、独自の入試を行っています。
入試は、大きく分けて、英語及び専門科目からなる筆記試験と、口述(面接)試験の二つからなります。修士課程はA日程(6月下旬願書提出、8月上旬試験)のみになりますので注意してください。


1.筆記試験
(1)英語
第一次試験として英語の試験はメディカル情報生命専攻メディカルサイエンス群と同じシステムで、TOEFL-ITPを試験当日に受験していただきます。

(2)専門科目
専門科目はメディカル情報生命専攻の試験と同時に行います。しかし、医療イノベーションコース用の知的財産、生命倫理、生物統計(各2問ずつ)に関する問題6問から当研究室を志望する場合は知的財産の2問を選択して解答していただきます(知的財産の2問は従来の傾向と同じです)。これらの問題を回答する上で、必ずしも専門的知識を有している必要はありませんが、用語等については基礎的知識を有していることが必要になります。


2.口述(面接)試験
口述(面接)試験は、医療イノベーションコース独自で行います。志望理由、希望する研究テーマ等について質問します。


3.最終合否
筆記試験に続いて口述(面接)試験を行った後、全ての試験結果を総合的に判断して、最終的な合否判定を行います。

※ 修士課程へ進学を希望する学生は以下の点に十分に留意してください。
修士課程で社会科学系を専攻し博士課程で自然科学系の研究活動を再開するには困難を伴う可能性がありますし、社会科学系の修士学生は就職活動においては文系として扱われます。むしろ、修士課程で自然科学系の研究に関する経験を十分に積んでから社会科学系の研究室で学ぶ方が、長い目で見たときにメリットがあると考えています。修士課程から社会科学系に進みたいと思う学生の方は、ぜひ慎重に自分の適性や将来について検討していただきたいと思います。
さらに、社会科学としての「イノベーション研究」は境界領域にある学問分野であるため、自分の力で切り開いていくフロンティア精神が要求されます。そのため、教員の指示に受動的に従うのではなく、自主的に研究を遂行できる能力が不可欠です。これらのことを十分に踏まえた上で、進学を判断して下さい。
ただし、これらの困難さを十分に認識した上で、境界領域分野で研究してみたいという熱意のある方なら、目標を達成できる可能性が十分にあると考えますので、歓迎します。


博士後期課程(博士課程)の入試について説明して下さい。

当研究室の所属する医療イノベーションコースはメディカル情報生命専攻に帰属しますが、独自の入試を行っています。
入試は、大きく分けて、英語の筆記試験と、口述(面接)試験の二つからなります。

1.筆記試験(英語)
A日程(6月下旬願書提出、8月上旬試験)では、第一次試験として英語の試験はメディカル情報生命専攻メディカルサイエンス群と同じシステムで、TOEFL-ITPを試験当日現地で受験します。B日程(11月下旬願書提出、2月上旬試験)では英語はATOEFLのスコアシートを提出のみ選択可(スコア―シート提出締切1月中旬)ですので注意してください。

東京大学以外の大学院の修士課程から受験する場合、英語の試験が必須となりますが、東京大学の大学院の修士課程の在学生または修了者が受験する場合には、英語の試験は免除されます。

2.筆記試験(専門科目)
専門科目はメディカル情報生命専攻の試験と同時に行います。しかし、医療イノベーションコース用の知的財産、生命倫理、生物統計(各2問ずつ)に関する問題6問から当研究室を志望する場合は知的財産の2問を選択して解答していただきます(知的財産の2問は従来の傾向と同じです)。問題は修士と同じです。これらの問題を回答する上で、必ずしも専門的知識を有している必要はありませんが、用語等については基礎的知識を有していることが必要になります。

3.口述(面接)試験
第一次選抜の合格者に対して、第二次試験である口述試験を実施します。口述試験では、これまでに行った研究の要旨(A4で2枚)を指定期日までに提出した上で、@志望動機、Aこれまでに行った研究(修士論文等)、B研究計画、C社会人経験者の場合には業務内容と研究テーマの関連や職場の理解に関する方針、の4点について10分程度で説明し(パワーポイント使用)、発表内容について質疑応答(15分)という形式で行います。これまでに行った研究については、修士論文に加えて、大学院卒業後に行った研究についても説明していただいても構いません。口述試験は通常、既卒者は9月入学、4月入学ともに8月に、未卒者で4月入学希望者については2月に実施します。研究計画については入学後に変更されることは想定内ですが、事前に研究室訪問をした上でどのような研究テーマに興味があるかを願書提出前までに指導予定教員とディスカッションしておくことは必須です。


4.最終合否
口述試験後に、英語、専門試験、口述試験の各得点を総合的に評価した判断した結果によって、最終的な合否判定を行います。

2. 定員人数について

医療イノベーションコースの受入れ定員は何名ですか。

教育設備、教員数等の関係から、入学定員は修士課程及び博士課程それぞれについて若干名程度となります。少数精鋭で緻密な教育研究を遂行していきたいと考えています。


3. 所属学生について

所属している学生は何人ですか。また、どのような学生が向いていると考えていますか?

現在、博士課程に19名の学生(社会人学生18名)、修士課程に2名(社会人学生)が所属しており、バックグラウンドは様々です。

当研究室では、科学に関する十分な理解力を有し、科学政策、企業の研究開発戦略、ビジネスモデル、知財、技術標準、レギュレーション、医療の将来といった幅広い分野に興味のある学生を募集しており、多様な興味と多様なバックグランドを持つ人達が集まることにより、ラボの活力はあがっていくものと考えます。個々の学生のテーマ設定はその中でより絞ったものになっていきますが、バイオ分野における知財戦略、イノベーション戦略について、既存の研究とは異なる視点やアプローチで研究することを目的としているため、学部又は修士でライフサイエンス関連分野を専攻した方、またある程度ビジネス経験や研究経験がありWorking Experienceに基づいた自分なりの視点や問題意識のある方が望ましいといえます。ビジネススクールの受験資格ではよく「少なくとも3年の就業経験」を求めることがありますが、これは大学で学んだ事と実社会で起きていることのギャップを少なくとも部分的にでも自らの経験知として持っていること、こうした経験が新しい物事を捉えたり別のモノの見方を組み立てていくのに役立つとの発想から来ています。しかしながら、学部学科、経験を問わず(理系・文系を問いません)、どのような学問を学んだ方であっても、研究を完遂するための基礎学力と研究遂行に向けた熱意や情熱があれば、学位を習得することは可能です。

メディカル情報生命専攻、医療イノベーションコース、バイオイノベーション政策分野(研究室名)の関係はどうなっていますか?

メディカル情報生命専攻は、メディカルサイエンス群、情報生命科学群、医療イノベーションコースの2群、1コースからなっており、バイオイノベーション政策分野は医療イノベーションコースに属しています(1コース3分野で構成)。コースは、学生が帰属するカテゴリーの名称(教育コースとしての「医療イノベーションコース」)で独自の入試体系と学位付与基準があります。

       

4. 研究活動について

実際の研究活動はどのようになりますか?

当研究室では、指導教員の指導のもとで、学生が設定した研究テーマについての体系化、理論化、ケーススタディ、実証分析などに取り組んでいきます。しかし、研究の前提となる基礎を十分に修養しておくことが不可欠です。そこで、初学者については一定期間、講義や研究室内での勉強会を通して、知的財産、社会科学の方法論、各種統計解析の理論とソフトウェア(必要に応じpythonやRなども)、社会科学系の英文ジャーナルの種類と特徴、研究テーマ設定時の留意事項などについて、研究に着手する上での基礎知識を身に付けていただきます。


いずれの研究にしましても、我々が目指している研究においては、定性的なものだけでなく、定量的に把握できるデータに基づいて自分の考えを立証していくセンスが必須であると考えています。特に、博士課程においては、社会科学分野の査読付英語論文において第一著者の論文があることが学位取得の前提となります。研究活動は、月1回の雑誌会・研究ミーティング(場所は白金:医科研2号館とzoom開催の併用)や春・夏に開催されるセミナーを通じて、参加メンバーの意見交換を交えて進めていくことになります。当コースは、メディカル情報生命専攻の中にあり、専攻内外の学生に対してはライフサイエンスの研究者に必須である知的財産権に関する基礎的な知識の取得及び知的財産権の活用のための教育カリキュラムを実施していますが、コース内の活動は社会科学として幅広く医療やライフサイエンスに関連した境界領域的な「イノベーション研究」に属する研究を実施しています。具体的なテーマの例については、研究内容を参照してください。尚、自然科学系の修士号取得者が当コースの博士課程に入学する場合(修士に入学する場合も)、自然科学系から社会科学系に転換することになるため、最初の半年間は研究会・雑誌会とは別の日の土曜日(月1回程度)に、多変量解析や社会科学のためのリサーチデザインの入門書を使った勉強会を実施し、研究着手の準備期間を設けています。本人が持つ漠然とした問題意識を研究テーマとして成立可能なリサーチクエスチョンに変換していく作業は当然に試行錯誤を伴い、スタッフもその作業をサポートしていきますが、何が社会科学としてのアカデミック・アチーブメントなのかは常に審査の過程で問われることであり、自らの問題意識を世界の中で位置づける作業が半分、立てたリサーチクエスチョンを検証する作業が半分と考えておいてください。独自性の高いテーマ設定には独自の「研究背景」構築と「目的導出の妥当性」を担保する作業を伴いますので、全ての所属学生はこのための調査にかなりの労力を費しています。背景論の整備のためにマッピングツールの利用を促す医療イノベーション俯瞰演習等も実施しています。


5. 講義・演習について

どのような講義・演習がありますか?

当研究室では、バイオ知財法概論、バイオ知財実践演習、医療イノベーション特論T・U、医療イノベーション俯瞰演習といった、知的財産、ビジネスに関する講義・演習を行っている他、全学生に必修となっている研究倫理/医療倫理Tの講義もあります。博士課程の場合は研究倫理/医療倫理、博士必修演習T・U以外に必修の講義・演習はありません。


当研究室所属の修士課程の学生にとって、バイオ知財法概論、医療イノベーション特論T、医療イノベーション俯瞰演習、研究倫理/医療倫理Tは必修です。


6. 取得できる学位について

どのような学位が授与されますか。

修士(科学)、博士(科学)です。


7. 修士号、博士号の条件について

修士号、博士号を取得するための条件はどうなりますか?

他のメディカル情報生命専攻の修士課程、博士課程の学生と同様に、専攻内外(学外を含む)の5名以上(修士は3名以上)の審査委員から構成される審査委員会によって修士論文、博士論文の内容に基づいて学位付与の可否を判定します。なお、博士課程については、原則、博士論文を提出する前に、査読付きの英語雑誌に筆頭著者の論文を少なくとも1報発表することが要求されますが、これは必要条件であり十分条件ではありません。また、平成26年度博士課程入学生からメディカル情報生命専攻に研究アドバイザー制度(主指導教官以外の学内教官2名)が導入され、通常の履修生に対しては、入学後1年以内の研究計画及び研究進捗のチェック、D2以降の学会発表時のプレゼン内容の評価、D3の最初の2か月以内に開催する博士中間報告会によりテーマ設定の妥当性、研究進捗の程度が外部の評価委員(研究アドバイザー)からモニタリングされるようになりました。D1終了時、D2終了時にアドバイザーへの報告と進捗状況の報告義務があります(博士必修演習T、U)。尚、6年間の長期履修を選択した学生(主に社会人)に対しては、入学2年経過後の研究計画書・研究進捗の評価(博士必修演習T相当)、D2-D4の期間中の学会発表時プレゼン内容の評価(博士必修演習U相当)、D5-D6時の中間報告会(各期間は前倒し可)、予備審査、本審査の5ステップで、選定されたアドバイザーから評価を受けるシステムになっています。アドバイザーは、可能な限り設定されたテーマに沿った専門家を学内(必要に応じて学外)から選定することとなっています。

       

8. 卒業後の進路について

卒業後はどのような進路に向かうことになりますか?

卒業生は、知財戦略、イノベーション政策の専門家として各方面で活躍することが期待されています。例えば、ビジネスの現場に入って知財戦略専門家として活躍するだけでなく、修了後に大学に残って研究活動を継続したり、弁理士・弁護士を目指して法律事務所や特許事務所に就職したり、各種公務員となり政策実行や政策立案に携わったり、ジャーナリスト等の進路も考えられます。当研究室は、平成18年にスタートし、現在までに9名の修士課程修了者、14名の博士号取得者がおります。総合商社、特許事務所、国の研究機関、医療機器・再生医療・製薬・食品などのメーカー、大学などに就職しています。尚、学部まで理系学生であったとしても、修士卒業生は文系として扱われることが多いので就職活動においてはこの点に留意が必要です。


9. 社会人入学について

社会人なのですが、今の仕事を続けながら本コースを卒業することは可能ですか?

修士課程は平日の昼間に開講される授業を履修しなければならず、社会人が仕事を続けながら卒業することは原則として困難であると考えます。一方、博士課程については、前記のような講義を履修する必要がありませんので、毎月の土曜日隔週に開催されるセミナー・雑誌会で積極的に研究発表を行い、博士論文の審査に耐えうる論文を提出すれば、働きながら研究活動を行い博士号を取得することが、原理的には可能です。ただ、現実的には、新規な研究領域における研究活動は、非常に多くの時間と労力を伴うものであることから、仕事と研究室での活動を両立させるためには、体力的にも精神的にも相当の努力を要することを付言させていただきます。知財研究、イノベーション研究分野は、境界領域での研究活動であるため、一定のビジネス経験や研究経験がプラスになっていることもまた事実であり、当研究室では社会人を多く受け入れているのもこの理由によります。この他、社会人向けには、博士課程の学費3年分を6年間で分割して支払いつつ、6年間で博士課程を修了する「長期履修制度」があり、入学前に申請することで本制度の適用を受けることができます。「長期履修制度」は、必ず6年間を要するというものではなく、前倒しでの学位取得もできます(前倒しでの学位取得でも最終的に合計して3年分の学費の納入が必要です)。尚、長期履修生に対する中間評価会は、D3以降D5までの期間の任意の時期(半年刻み)に開催され、予備審査・本審査に進みます。社会人学生の大半は長期履修制度を利用しています。2025年度入試からは残存任期から長期履修生前提の募集は停止しています


10. 研究室ミーティングの場所

リサーチミーティングはどこで実施していますか?

当研究室のオフィスは、柏と白金(サテライトオフィス)の両方にありますが、社会人学生の利便性を考慮して、毎月実施する個人別のリサーチミーティングは都内からのアクセスの良い白金のサテライトオフィス(医科学研究所2号館)もしくはzoomで実施しています。また、入学後に転勤などで地方に転勤した社会人学生向けにはzoom対応をベースとし、通学環境の変化には柔軟に対応するようにしています。


11. その他

願書を提出する前に、研究室訪問をする必要はありますか?

当研究室の所属する医療イノベーションコースは、メディカル情報生命専攻の中においては独特のカリキュラムが用意されている点、社会科学的な研究側面をも有しているという点で、メディカル情報生命専攻の中でも独特なコースです。具体的な研究内容や指導方法を含めて研究室における研究教育活動についてより具体的なイメージを持っていただくためにも、当研究室を志望する学生は願書を提出する前に、メールや電話(下記連絡先参照)によりアポイントを取った上で、研究室訪問を行うことを強く推奨しています。



連絡先

東京大学大学院 新領域創成科学研究科 メディカル情報生命専攻           
バイオイノベーション政策分野 教授 加納 信吾

〒 277-8562 柏市柏の葉 5-1-5 東京大学 新領域生命科学研究棟  B1-17

〒108-8639 東京都港区白金台4-6-1 東京大学医科学研究所 2号館2F西

E-mail: nyushi(アットマーク)bioip-lab.org