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Kinectセンサは、もとはゲーム機であるXBOX 360専用のデバイスです。マイクロソフト社から販売されました。
安価で高い解像度をもち、計測可能距離は約5mまでと短いですがLiDARセンサーと似た3次元データを取得することができます。本ページでは、Kinectを使って山地小河道の水面下にある河床の計測を試みたので、その方法について紹介します。河床構造の把握が可能か検討しました。 |
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調査方法 |
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Kinect本体を計測範囲の中心から約2mの高さに設置した。河道の両側に三脚を立て、川幅の長さのアングルを渡してKinectセンサが水面に対して垂直になるよう固定した。バッテリーとノートパソコンにつなぎ、ビデオカメラ画像と深度画像ファイルを15分間出力し、100画像以上取得した。ビデオカメラ画像は安定した深度データを取得するため日中に、深度画像は環境光の影響の少ない日没後に撮影した。杭を河川の両岸に立てて河床横断面図を作成するときの目安とし、10cm間隔で横断面測量した。また、水面下の測定を検証する目的で、既知の大きさのブロック(10×10×6cm)を水中に置いて撮影を行った。
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用意したもの |
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バッテリー
撮影時間に合わせてバッテリーを用意します。Kinectのフレームレートが30fpsなので、数秒で十分な画像データを取得することができます。今回、テスト撮影や録画に要した時間は20分ほどでした。センサの電圧は直流12V、1.1Aです。
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ぱわもりくん |
内臓バッテリー |
DC-12V/12Ah シールド式鉛蓄電池 |
本体寸法 |
約320(W)×220(D)×275(H)mm |
本体重量 |
約5.8kg |
インバーター機能 定格出力 |
100W時連続使用約50分 |
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ノートパソコン
出力画像データのサイズが大きいので、ある程度のHDD容量を確保する必要があります。
タフブック CF-19
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OS |
Windows 7 Professional 32ビット |
メインメモリ |
4GB |
ハードディスクドライブ |
500GB |
バッテリー駆動時間 |
10時間 |
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三脚
カメラねじの大きさに合わせたナットを使用してアングルと固定しました。
アングル
30mm角、長さ3mのアングルを使用しました。マジックテープでKinectを固定しました。
ブロック
レンガを使用しました。赤外線カメラは明るい色の方がよく反射するので黄色のテープを巻きました。
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手順 |
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- 撮影プログラム(kinect_record)でRGB画像と深度画像と出力
- ワールド座標変換および位置合わせのプログラム(kinect_register)でワールド座標値と位置合わせしたビデオカメラ画像を取得
- 深度データの平均値と標準偏差をSAGAで表示
- ArcVIewを用いてワールド座標値からTIN画像を作成し、断面図を作成
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結果と考察 |
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水面下の深度データ取得
下図にビデオカメラ画像と深度画像を示す。計測を行った範囲の最大水深は14cmであったが、全域で深度データが得られ、水面下の河床構造を把握できた。図1からは、少し波立っている箇所や完全に水没しているブロック1の形状も撮れていることがわかる。
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深度データ精度
右図は 出力した100の深度データ(DN)の標準偏差を示す。最大水深が10cmを超える場所でも標準偏差は小さく安定した計測ができた。しかし、水深が0〜6cm程度の浅い場所であっても水面が波立っている場所では標準偏差値が大きい。また、川岸や岩の側面など深度の変化が大きい箇所や、Kinectの中心から左右へ距離が離れると標準偏差は大きくなり精度が小さくなる。
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実測値との比較
右表は、実測値と計測値の比較を示す。取得する深度データにばらつきが生じるため、100の深度データの平均を算出した後、XYZ座標に変換した。深度データを基に計算した距離を実測値と比較した。実測値とKinect計測値の差はKinectの測定精度以下ではあるが、実測値より計測値のほうが常に小さい傾向があり、今後詳しく検討する必要がある。
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水面下 |
実測 |
計測 |
誤差 |
杭間の距離1 |
0 |
1170 |
1158 |
1.2 |
杭間の距離2 |
0 |
1385 |
1352 |
3.3 |
杭間の距離3 |
0 |
1300 |
1270 |
2.9 |
ブロック1の大きさ |
縦 |
60 |
99 |
100 |
0 |
横 |
60 |
100 |
102 |
0.2 |
ブロック1の大きさ |
縦 |
1.5 |
100 |
96 |
4.0 |
横 |
1.5 |
100 |
94 |
6.0 |
ブロック1の大きさ | 縦 |
0 |
100 |
97 |
3.0 |
横 |
0 |
98 |
95 |
5.0 |
単位:mm |
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河川断面図
河床の形状を把握するために、ArcViewを用いてKinet計測値から断面図を作成した。ArcViewへXYZ値をインポートし、TIN画像へ変換した後、2点間のラインを指定して断面図を作成することができる。
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TIN画像
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補足 |
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- 水面下のデータについては補正の必要がある(Mankoff & Rosso 2013)。
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- 最近グリーンレーザを用いると水面下の詳細な3D情報が得られることがわかってきた(Miura & Asano 2013)。現在、計測方法等について検討中。
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参考文献/URL |
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- Mankoff K.D. & Russo T.A (2012) The Kinect: a low-cost, high-resolution,
shor-range 3D camera, Earth Surf. Process. Landforms, vol38 926-936.
- Miura N. & Asano Y. (2013) GREEN-WAVELENGTH TERRESTRIAL LASER SCANNING
OF MOUTAIN CHANNEL, vol ll-5/W2 11-13.
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