Research
教授の平山を中心にヒトや動物の腸内細菌叢の研究を進めています
ヒトや動物の腸内には、多種多様な細菌が100兆個以上定着しており、独自の生態系(腸内細菌叢)を形成しております。この生態系は宿主に様々な影響を与えていることが知られており、数多くの可能性が詰まっております。
食品衛生において重要なカンピロバクターや腸管出血性大腸菌O157:H7、サルモネラ菌などの食中毒細菌については疫学調査にとどまらず、宿主の腸内細菌叢に着目した感染・発症に対する防御機構についての研究も行っております。
そして本研究室では腸内細菌叢を持たない無菌マウスを維持しており、この無菌マウスを用いた動物実験を行うことができる点が大きな特色となっています。無菌マウスと通常の腸内細菌保有マウスを比較した研究では、様々な面で双方に違いが見られることが報告されており、宿主と腸内細菌叢の関係性がいかに重要であるかが伺えます。
主要な研究テーマ
• 腸内細菌叢による腸管出血性大腸菌感染防御機構の研究
• 腸内細菌叢や食餌成分が宿主に与える影響の研究
• ヒトや家畜の腸内の食中毒細菌の分布とその制御の研究
• 無菌動物技術を用いたヒトの腸内細菌叢の代謝や役割の研究
• プロバイオティクス、プレバイオティクス、バイオジェニックスの有効性の研究
•腸管系ウイルス感染における腸内細菌叢の役割の研究
•犬の問題行動における腸内細菌叢の重要性をモデルマウスを用いた行動実験から解析する研究
准教授の三浦を中心に媒介動物と人獣共通感染症についての研究を進めています
昨今のインフルエンザや新型コロナウイルスのパンデミックに見るように、世界規模での感染症問題は今後も発生が予想されます。全ての感染症のうちの約半数が人獣共通感染症であることから、媒介動物の調査や原因微生物の研究を行うことは公衆衛生上とても重要なことです。
ヒトが定住を始めた頃から関わりが深いネズミなどの齧歯類は、地球上の哺乳類の中で、最も大きなグループを形成します。ネズミからヒトへ感染する病原体や新たにヒトへの感染が懸念される病原体、また、人獣共通感染症を媒介する蚊やマダニの調査研究も実施しています。
主要な研究テーマ
•国内外におけるネズミ媒介性人獣共通感染症研究
•ベトナムにおける不明熱性疾患の病因研究
•アジアにおける薬剤耐性菌研究
•新たなバクテリオファージ探索とその有用性に関する研究
助教の松郷を中心に人獣共通感染症を引き起こすウイルスの増殖機構の研究を進めています
ウイルスは細胞への侵入、複製、転写、出芽などの増殖環のいずれの段階においても、様々な宿主因子を用いており、これらの宿主因子はウイルスの宿主域を規定する要素の一つであり、また抗ウイルス薬の標的にもなりえます。さらに、ウイルスが宿主因子をどのように用いるかをアミノ酸レベルで解析していくことで、そのウイルスあるいは近縁なウイルスが将来、ヒトや動物でアウトブレイクを引き起こす潜在性も明らかになります。現在は、核内増殖RNAウイルスであるボルナ病ウイルス、鳥ボルナウイルス、トゴトウイルスを中心に研究を進めています。
主要な研究テーマ
•ボルナ病ウイルスの細胞侵入機構の研究
•核内増殖RNAウイルスの宿主域に関する研究
•核内増殖RNAウイルスの転写・複製機構に関する研究