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概要: 神経科学には2つの主要な数理モデリングアプローチが存在する。1つは単純な微分方程式を用いた力学系アプローチであり、リザーバーネットワークなどの形式により、
神経回路のダイナミクスをもっともらしく解釈することができる(Sussillo & Abbott, Neuron, 2009)。もう一つは、自由エネルギー原理や能動的推論(active inference)で考えられているように、脳を変分ベイズ推論を行うエージェントとみなす考え方である(Friston, Nat Rev Neurosci, 2010)。しかし、この2つの主要なアプローチの対応関係は完全には理解されていない。
そこで本研究では、神経活動と可塑性が共通のコスト関数を最小化しているような、発火率コーディングモデルからなる標準的な神経回路モデルのクラスを考えた。
我々は、これらの神経回路モデルが変分ベイズ推論を暗に実行していること数理的に示した(Isomura & Friston, Neural Comput, 2020)。
すなわち、この種の神経ダイナミクスは、部分観測マルコフ決定過程モデルの下での変分自由エネルギー最小化を行なっているとみなすことができる。
この等価性を用いると、ベイズ推論の観点から標準的な神経回路モデルの普遍的な特性を説明することができ、適応的行動制御や行動計画の神経メカニズムを理解する助けになると期待される。