アブスト:
生物の形は複雑で見ていて興味がつきないが、鉱物結晶や液滴の形成が物理化学
の法則でなされるのと同じような何かの法則にしたがって自立的にできると考え
た。遺伝子から発生初期の胚や器官の多細胞体の形態ができる道筋を考えよう。
遺伝子 → 細胞 → 多細胞体
の形のスキームのなかで、前半は遺伝学・分子生物学・細胞生物学の分野である。と
ころが後半の細胞が集まって形ができるところはこれまでの手法では進めない。
細胞集合体が形成され変形するのは力が働いているからである。力と形をあつか
うには力学や幾何学を取り入れた数理モデルが必要である。その一つとしてCell
-based vertex dynamics for tissuesがある。細胞の能力は遺伝子によってきめ
られるのだが、この能力をもつ細胞が集まって特有の形が自立的につくられる。
チューブの形成と伸張、哺乳類胚盤胞の形成、初期胚心臓のループ形成などにつ
いて述べる。
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