べる ~情報部門 ~

物質、エネルギー、力、時間、空間は、物理学を構成する基本概念であるが、生命現象を理解するためには、これに情報の概念を加えることが不可欠である。生命はその起源において、情報を物質に蓄え、それを複製し、書き換える能力を獲得した。また、マクロレベルでも生物は自ら情報を選び取り、情報を生み出し、環境に働きかける。このように生命と情報のかかわりは、複数の階層に及んでいる。Maxwellの悪魔のパラドクスに代表される情報とエネルギーの関係、シグナル受容器の情報限界、走性メカニズムと適応、学習と予測、情報のシンボル化、脳と高次情報処理、生命の自発性・自主性など、生命現象のあらゆる階層において情報の意味と役割を明らかにすることは重要である。単なる物質の集まりからできた生命がどのようにして情報を獲得、生成し、ついには自分自身を考えることができるようになったのか、情報と物質やエネルギーの関係、情報と生命の協奏的な時空間発展、進化ダイナミクスとの関係、自発性獲得のメカニズム、それらに基づく新しい情報制御や学習アルゴリズムなどを研究することが本部門の目的である。