HOME > 研究内容

研究内容


1. 有機-金属界面の電子構造と電荷輸送
 最近,有機分子を素材とした発光ダイオード,太陽電池,分子素子などに大きな関心がもたれています. これらの有機デバイスの開発に当たって,有機-金属界面や有機-有機界面の制御が大変重要な課題となっています. 当研究室では,金属基板に結合した有機分子の電子状態(特に,フェルミ準位近傍の電子状態)を,紫外光電子分光(UPS)や準安定原子電子分光(MAES)などによる実験,密度汎関数法(DFT)による第一原理計算によって調べています. また界面の電子構造と電荷輸送の関係も調べています.




Pt(111)上に結合したチオール分子の局所状態密度

Pt原子,S原子,アルキル鎖では局所的な電子構造が大きく変化します.
アンカーのS原子ではフェルミ準位での密度が高く金属的電子構造をとるが,アルキル鎖末端では絶縁体的電子構造になっています.
このような性質は,単分子電気伝導現象において決定的な役割を果たします.


2. 表面反応のリアルタイム観測
 表面反応や結晶成長をリアルタイムで観測する研究が盛んに行われています.
本研究室では,光電子放射顕微鏡(PEEM)や準安定原子電子放射顕微鏡(MEEM)を独自に開発しました.

写真










Ni単結晶表面の酸化反応を捉えた光電子顕微鏡像

核形成,沿面成長を経て酸化がμmのスケールで不均一に進行することが分かります.

写真















     開発した光電子顕微鏡断面図

3. 分子凝集体表面の構造と化学反応
 水や有機分子の凝集体は,ソフトな系として多彩な物性が出現するばかりでなく,南極のオゾンホールの破壊や宇宙における化学進化の観点からも興味がもたれています.
私たちの研究室では,結晶氷と外部から飛来する分子の相互作用について調べています.
クロロホルムのような疎水分子であっても表面束縛状態を経て,凍り内部に溶解することなどが分かってきました.