2014年 夏学期 第5回 物性セミナー
講師 中村真氏(中央大学理工学部)
題目 AdS/CFT対応で探る非平衡定常系の有効温度
日時 2014年 6月 6日(金) 午後5時30分 いつもと開始時間は異なります
場所 16号館 827
アブストラクト
本講演では、超弦理論の枠組みで提案された「AdS/CFT対応」を用いて、非平衡定常系の物理学について考察する。AdS/CFT対応では、ゲージ粒子の多体系が構成する熱平衡系をブラックホール時空で表すことができる。この場合、ゲージ理論側の温度はブラックホール時空のホーキング温度に対応する。ここで、ゲージ理論側に熱浴と着目系を準備し、着目系に外力をかけて非平衡定常状態にドライブすることを考える。興味深いことに、少なくともある種の非平衡定常系では、重力理論にマップすると、熱浴を表すブラックホールに加え、揺らぎの自由度が観測する一種のブラックホールが現れる。この新たなブラックホールのホーキング温度は一般に熱浴の温度とは異なり、ここでは有効温度と呼ぶことにする。この有効温度は、非平衡定常系における揺動と散逸を関連づける温度であることが、少なくともこのような例については示すことができる。さらに、この有効温度の振る舞いを系統的に調べると、非平衡にドライブすることで、有効温度が熱浴の温度よりも下がる場合があることが見出された。講演ではこの結果の詳細を報告する。
参考文献:S. N. and H. Ooguri, Phys. Rev. D88 (2013) 126003 [arXiv:1309.4089].
宣伝用ビラ
KMB20140606.pdf(357)
物性セミナーのページ
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最終更新時間:2014年04月23日 22時51分59秒