2014年 夏学期 第4回 物性セミナー
講師 楠瀬博明 氏(愛媛大学大学院理工学研究科)
題目 トロイダル秩序と反転対称性の自発的な破れ
日時 2014年 5月 30日(金) 午後4時30分
場所 16号館 827
近年、固体物理学におけるスピン軌道相互作用が脚光を浴びている。スピン軌道相互作用は文字通りスピンと軌道の自由度を結びつけ、このスピンと軌道からなる複合自由度が空間反転対称性のない状況におかれることで、電気磁気効果やスピンホール効果などの興味深い物性が発現する。
本講演では、蜂の巣格子に代表されるような「局所非パリティ系」(グローバルには反転対称性が存在するが各原子サイトでは反転対称性のない系)における自発的な反転対称性の破れとその帰結について紹介する[1]。具体的には「局所非パリティ系」において、さまざまな交替的電子秩序が発生すると、空間反転対称性が自発的に破れ、その結果生じる反対称スピン軌道相互作用もしくは反対称スカラー場が電気磁気効果やスピン伝導などの非対角応答に特異な影響を及ぼすこと、を紹介する。特に、時間空間反転がともに奇の極性ベクトル自由度、トロイダルモーメント[2]に着目して議論したい。
本研究は、東大工の速水賢、求幸年各氏との共同研究によるものである。
[1] S. Hayami, H. Kusunose, Y. Motome, arXiv:1404.1156
[2] 例えば、N.A. Spaldin, M. Fiebig, and M. Mostovoy, J. Phys.: Condens. Matter 20, 434203 (2008).
宣伝用ビラ
KMB20140530.pdf(579)
物性セミナーのページ
http://huku.c.u-tokyo.ac.jp/cgi-bin/FSwiki/wiki.cgi/BusseiSeminar
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最終更新時間:2014年05月25日 21時57分19秒