2014年 冬学期 第1回 物性セミナー
講師 星野晋太郎氏 (東大総合文化)
題目 奇周波数超伝導の熱力学的安定性と電磁応答
日時 2014年 10月 3日(金) 午後4時30分 午後5時30分 いつもと開始時間は異なります
場所 16号館 827
アブストラクト
超伝導状態はクーパー対の時空・スピン構造によって特徴づけられる。通常の超伝導体では相対時間について偶関数(偶周波数)の対が仮定されてい る。一方、新しい対状態として奇周波数超伝導がBerezinskiiによって1974年に提案されたが、近年までその物理的性質に未解明の部分 を多く残したままであった。特に重要な問題点として、従来の取り扱いをそのまま奇周波数超伝導に適用すると熱力学的に不安定な解が得られてしまう ことや、超伝導状態における電磁応答係数(超流動密度)が負という非物理的なものになることが挙げられる。このような事情もあり、固体における奇 周波数超伝導の実現性に対して懐疑的な見方も多くあった。 ところが最近になって、通常クーパー対に課される重心運動量ゼロという条件を見直すことにより、熱力学的に安定な奇周波数超伝導が実現すること がわかってきた。我々は重い電子系のモデルを例にとり、これを実際に示した[1]。さらに超伝導状態に対するわかりやすい平均場描像も得られ、これを用いて電磁応答係数がいつも通り正になることを導いた[2]。本講演では奇周波数超伝導についての歴史的背景から始め、我々の最近の研究成果 について紹介したい。
[1] S. Hoshino and Y. Kuramoto: Phys. Rev. Lett. 112, 167204 (2014).
[2] S. Hoshino: arXiv:1406.1983 (to appear in Phys. Rev. B).
宣伝用ビラ
KMB20141003.pdf(432)
物性セミナーのページ
http://huku.c.u-tokyo.ac.jp/cgi-bin/FSwiki/wiki.cgi/BusseiSeminar
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最終更新時間:2014年10月03日 10時37分50秒