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物性セミナー/2012-12-21

2012年 冬学期 第6回 物性セミナー

 講師 藤谷洋平氏(慶應義塾大学)

 題目 脂質二重膜のラフト様領域の拡散係数

 日時 2012年 12月 21日(金) 午後4時30分

 場所 16号館 827

アブストラクト

多成分の脂質からなる流体膜である生体膜には、成分組成がまわりと異なる領域(ラフト)があって、膜における化学反応に影響を与えるといわれている。実際の生体膜は、一様相にあって、その臨界ゆらぎがラフトの実態である、との見解がある[1-4]。一方で、人工膜では相分離構造が実現され、円形液体領域の拡散係数を測定する実験もある[5]。

拡散係数は抵抗係数と関係がつく。膜蛋白質のモデルである剛体円板の抵抗係数は、文献[6]にある研究がよく知られ、また、内外の膜粘性が同じ場合の円形液体領域のそれは、文献[7]で計算されている。最近「異なる」場合のそれを計算したところ、円形液体領域の粘性が下がっても、抵抗係数が上がりうる、ということがわかった[8,9]。

教科書にもある、三次元流体中を動く液滴の場合、液滴の粘性が下がって流動性が上がれば、抵抗係数が下がる。その界面近くでは、液滴内の流れと液滴外の流れがほぼ同じ向きだが、液滴中心付近では、液滴速度の向きと同じ向きの流れが存在する。これが、もし液滴外の流体に接触しておれば、抵抗係数をあげる傾向をもつはずであるが、実際は接触していない。

しかし、二次元流体膜における液体領域では、中心付近の流れが、まわりの三次元流体に接触する。このことが、三次元液滴の場合と異なる結果を生む原因であると考えている。この効果は、まわりの三次元流体が膜に平行な固体壁で囲まれているとき、若干顕著になる[10]。

[1] Honerkamp-Smith, et al., Biophys. Biochim. Acta 1788 (2009) 53.

[2] Inaura & Fujitani, J. Phys. Soc. Jpn 77 (2008) 114603

[3] Honerkamp-Smith et al., Phys. Rev. Lett. 108 (2012) 265702.

[4] Fujitani, J. Phys. Soc. Jpn 82 (2013) to appear.

[5] Aliaskarisohi, et al., J Fluid Mech. 654 (2010) 417.

[6] Saffman, J. Fluid Mech 73 (1976) 593.

[7] de Koker, Ph.D thesis (1996), Stanford University.

[8] Fujitani, J. Phys. Soc. Jpn 80 (2011) 074609.

[9] Fujitani, J. Phys. Soc. Jpn 81 (2012) 084601.

[10] Fujitani, in preparation.

宣伝用ビラ

KMB20121221.pdf(323)

物性セミナーのページ

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駒場セミナーカレンダー(駒場内のみアクセス可)

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最終更新時間:2012年12月12日 16時58分31秒