2009年 冬学期 第7回 物性セミナー
講師 河野 昌仙 氏(物質・材料研究機構 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点)
題目 擬1次元反強磁性体における準粒子
日時 2009年 12月 18日(金) 午後4時30分
場所 16号館 827
アブストラクト
通常の磁性体の動的性質は、古典的磁気秩序状態からスピンを1つ反転させることによって得られる準粒子(マグノン)によってよく理解できることが知られている。しかしながら、磁気秩序を安定化させない相互作用(フラストレーション)の強い2次元系では、磁気秩序のない状態(スピン液体状態)が実現し、マグノンとは異なる準粒子が現れる可能性があると考えられてきた。本講演では、1次元的な異方性をもつ三角格子上の反強磁性体ではマグノンとは異なる準粒子が現れ[1]、三角格子反強磁性体Cs2CuCl4で観測されていた様々な特異な振る舞いが、その準粒子描像によって統一的かつ定量的に説明できる[1]ことについて発表する。また、1次元反強磁性鎖の磁場中での励起 [2]や、異方的三角格子反強磁性体の磁場中で生じる特異な振る舞い[3]など、関連する最近の研究結果についても紹介する。
[1] M. Kohno, O.A. Starykh, and L. Balents, Nature Phys. 3 (2007) 790.
[2] M. Kohno, Phys. Rev. Lett. 102 (2009) 037203.
[3] M. Kohno, Phys. Rev. Lett. 103 (2009) 197203.
宣伝用ビラ
KMB2009-1218.pdf(510)
物性セミナーのページ
http://huku.c.u-tokyo.ac.jp/cgi-bin/FSwiki/wiki.cgi/BusseiSeminar
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最終更新時間:2009年12月08日 10時48分26秒