2006年 夏学期 第1回 物性セミナー
講師 清水 明 氏(東大総合文化)
題目「熱力学から見た統計力学・場の量子論」
日時 2006年4月21日(金) 午後4時30分
場所 16号館 827
アブストラクト
物理学者達と歓談していて驚くのは、半数以上の人々が、「統計力学さえあれば熱力学は不要だ」と思っている事である。もちろんこれは全くの誤りで、熱力学の2つの能力である、(i) 平衡状態におけるマクロ変数の値の予言 (ii) 平衡状態間の遷移規則、のうち、(ii)は今の統計力学では手も足も出ないことであり、そのために統計力学では熱機関の最大効率さえ計算できないのである。これだけならば、よく知られた初等的な誤解に過ぎないが、この講演ではもっと踏み込んだ議論を行う。すなわち、上記のようなつまらない偏見を捨てて、まじめに統計力学や場の量子論との関係を考えてみると、統計力学や場の量子論に関して、熱力学が多くの知見と制限をもたらすことを指摘する。たとえば、場の量子論のエネルギー密度に関する基本的な定理を、場の量子論における証明よりもずっと簡潔にかつずっと一般的に示すことができる。このような事実を指摘して熱力学の強大さを味わっていただくとともに、熱力学・統計力学・場の理論がいかに相互に依存し合い助け合って、現代の物理学の基礎を成しているかを強調したい。
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連絡先: 簔口(物性セミナー係)
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最終更新時間:2006年04月21日 18時55分27秒