Plant Nutrition and Fertilizers

カスパリー線形成の分子機構の解明

カスパリー線は1865年にRobert Casparyによって発見された植物の根に形成される構造体で、植物にとって不必要な物質が植物体内に侵入するのを防ぐ役割を持っています。

私たちは、モデル植物であるシロイヌナズナを用いて、カスパリー線の表現型に異常がある変異株を単離し、原因遺伝子を同定することにより、カスパリー線形成機構の分子メカニズムを明らかにすることを試みています。これまでにESB1と呼ばれるタンパク質がカスパリー線形成に関与していることを明らかにしました(Prashant et al., 2013, PNAS)。この変異株以外にも複数の変異株を単離しており、カスパリー線形成の全体像を明らかにすることができると期待しています。また、シロイヌナズナだけではなく、作物として重要なイネに関しても研究を進めています。

Figure 6
野生型株(左)とカスパリー線変異株(esb1)(右)のカスパリー線の表現型。野生型株ではきれいなライン状に観察できるのに対して、破壊株では複数観察される。矢頭は導管の自家蛍光を示し、それ以外はカスパリー線由来の自家蛍光。バーは100μm。