植物の有害元素の輸送や適応
植物が生育する土壌には有害元素が含まれることがあり、植物の生育に悪影響を及ぼしたり、収穫物に毒物が集積してしまうことがあります。このような問題を解決するには、毒物の輸送や毒物に対する耐性機構を明らかにすることが大切です。私たちの研究室ではこのような課題にも取り組んでいます。
イネのカドミウムの種子への集積を担う輸送体LCT1を同定し、この輸送体の働きを抑えることでイネのもみへのカドミウム蓄積が低下することを見いだしました(Uraguchi et al 2011 PNAS)。この遺伝子の変異を用いて、イネのカドミウムを低減する育種を進めています。また、過剰に存在するとホウ素は植物の生育を抑制しますが、抑制機構の1つがDNAの損傷によるものであることを明らかにしました(Sakamoto et al 2011 Plant Cell)。
最近では福島第一原子力発電所の事故に伴う放射性セシウムのイネによる吸収を、福島県の実際の圃場でイネを栽培して測定しています。イネは放射性セシウムをほとんど吸収しませんが、肥料の与え方や品種によって米へのセシウムの蓄積が変化することを見いだしています(Ohmori et al in press)。
通常のイネ | LCT1抑制イネ |