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InterviewCOG審査委員リレーインタビュー企画:
第2回 坂井修一 審査副委員長

――人間力の高さ問われる

 COG(チャレンジ!オープンガバナンス)においては、個々の参加者の熱意や人間の面白さが大事だと感じています。COGの活動では、それぞれの場所で色々な人の輪の中に交じり合うことが求められます。これまで参加していただいた企画の中では、人間力や粘り強さなどに感心させられてきました。こういった人間力は、理屈では割り切れないものです。そして、その人間力こそが、社会を作っていくベースになっているのではないかと考えています。

 COGは今年で4年目を迎え、開始当初からプレゼンテーションの仕方やIT技術の使い方も向上してきているように見受けられます。前述の人間力に加えて、技術的な習熟度や勘の良さ、市民・学生と自治体の協力といった部分で、企画の完成度に差がついてきていると感じています。

――失敗をプラスに、ピンチをチャンスに

 現代社会は、市民が主役。ですので、強い言い方になりますが、口をあけて何かが出るのを待っているのではなく、自分が一番不便に思った事柄を解決しようとアタックすることが必要です。特に学生のうちは失敗しても社会的に許されますし、寧ろ学生がチャレンジして失敗することは、大学や高校と本人にとってプラスになるのではないでしょうか。また、COGがオープンであることを自覚してもらいたいですね。様々なことが開示され、その中から材料を引っ張り集めていくという意識が大切です。

 自治体の方にも、忙しいルーチンワークをこなす傍らで、思うところがある人もいるかと思います。今は新型コロナウイルス対策や台風などの災害もあり、東京五輪がどうなるかもわからない不安な状態です。しかし、このような時期こそ、身近な社会を自分の理想に近づけることができるのではないでしょうか。ピンチをチャンスに変えるための何かが見つかると思って、COGに取り組んでください。

 特に、IT関連は大きなチャンスです。技術畑の人間としては、コンピューターとインターネットを使いこなしてもらいたいと思っています。ふだんはばらばらなデータを連携させると新しい価値を見出すことができるという事例もあるでしょう。ただ、その際には個人情報を守るということが重要です。統計データ以上のものを外部に開示しない、時間がかかっても手続きを踏むなど、守るべきことを守りつつ慎重に進めていくということにも気を付けてほしいですね。

――リモート技術と現場感の両立が課題

 新型コロナウイルスの問題は、我々の生活に影響を及ぼしています。主にテレワークやリモート会議の広まりや、印鑑がない世界を作りたいという動きもあるようです。いつでもどこにいても会議ができるというのは、今後の参加者の武器になるのではないでしょうか。

 しかし一方で、それでは現場感覚や人肌の温もりを得ることが難しいという問題が立ちはだかるでしょう。メリットとデメリットを理解していかに両立させるかということが、2020のポイントになると思います。Zoomのようなリモート技術を使えば、自治体と市民・学生、あるいはITについてのアドバイスをつなぐことができます。それでも、過去にCOGで受賞した京都の駐輪場の企画や、草津市の介護の企画でもそうだったように、現場の人たちが市民とつながっていないといけません。アフターコロナの世界で、それをどうやって作っていくかが重要です。

――根を張ったベンチャーの在り方提示していきたい

 また、こういった課題に取り組む環境の整備が必要です。東京大学でもベンチャーに取り組んでいる学生がいますが、こういったベンチャーは知的産業へのAI応用など派手に見える分野で短期間に収益化をしようとする側面があります。しかし、COGではもっと根を張って取り組むベンチャーの在り方を提示できればいいと思っています。その在り方を大学も、若い人にも考えてもらって、そのマッチングができる場になれれば、色々な事例、企画に対応できる受け皿になるでしょう。そういった環境を自治体の方に育てていただければありがたいですね。