【お知らせ】・2020年度の開催は終了しました。

Question and Answer

イベント当日、
お寄せいただいた質問について
講演者、パネラーの皆さんが答えました!

■講演に関する質問

Q:保護者です。多様性を高めたいという趣旨は理解できますが、現状、東大では理系の女子は少なく、東大のような大学に進学するより、女子大を目指したほうが、本人にとってメリットがあるのではないかと考えています。また、自分も東大工学部の出身ですが、女子が能力を発揮しづらい状況ではないかと感じていました。ご意見をいただけませんでしょうか。

A:佐藤先生(パネリスト:教員)
女性が多い環境よりも、男性が多い環境の中の方が女性ならではの視点が重宝されることもあるでしょうし、一概に能力を発揮しづらいとは言えないと思います。もっとも私が女性では無いため、あくまでも想像ですが。
A:大谷先生(講演者)
個人的経験談となって恐縮ですが、女子の少なさが女子の能力の発揮を妨げる制約になる事例はほとんどないと思います。私が東京大学の入試を受けたときには、工学部の建物は女子トイレが少ないためか、男子トイレが緊急的に女子トイレとなっていたのが印象的でしたが、今ではこういった構造的なアンバランスは完全に是正されています。研究や教育の現場でも、男女差というよりは個人差の方が圧倒的に大きいのが現実です。
もちろん、もしご本人が女性が多い環境の方が精神的にリラックスでき、能力を発揮できるということであれば、そちらの方が良いかもしれません。が、いったん社会に出ればあらゆるジェンダーに混じって生きていくのが現実です。ぜひ長期的かつ多角的な視点でお子さまの大学選択をお考えいただければと思います。

Q:初期はPCR不要、途中からPCR積極的にと変わった理由をデータを踏まえて教えて頂きたいです。


A:大谷先生(講演者)
必要な検査数の問題は、その時々の感染率状況と検査の正確性を合わせて考える必要があります。どの検査にも一定の割合でミスが生じ、偽陽性と偽陰性の判定が出ますので、このミス判断が実態に即した場合にどの程度許容できるか、が重要なのです。2020年3月の時点では、実際の感染者数は全人口に対してかなり少ないことが想定できる段階であり、さらに陽性と判定されたら症状に関わらず入院が義務づけられていました。この状態では、検査をすればするほど偽陽性判定が多く出てしまい、あっという間に病床が埋まり医療崩壊に繋がることが想像されました。 しかし、感染者が一定数以上になってくると話は変わります。こうなると、偽陽性の数はドンドン減り、真の感染者をかなり確実に拾い上げることができるようになります。また、軽症者はホテルや自宅での待機が可能になり、病床を占有しない方針に変わったことも重要です。それからPCR検査だけでなく、抗体検査や抗原検査が行われるようになったのも、それぞれ調べられる内容が異なるからであり、感染者拡大段階ごとに、必要な情報が変わって行くことに対応しています。 このように、どの時点で検査数を増やすべきか、どういった検査をすべきか、は、確率の計算である程度見積もることができますので、感染症の専門家は、上記の感染状況と国内の対応策を踏まえた上で情報を発信していた、と考えられます。具体的な数字を使った議論は論説や論文などで多数発表されているので、ぜひご自身でも探してみてください。


Q:保護者です。素晴らしい講演ありがとうございました。新世代リケジョのあり方について、とても参考になりました。メッセージに、考える姿勢、調べる姿勢について言及がありましたが、正しく伝える力も重要かと思いました。アドバイスがありましたら、お願いできませんでしょうか。

A:大谷先生(講演者)
ご指摘ありがとうございます。全くもってその通りだと思います。正しく伝えること、それを正しく受け止めること、両者がそろうことが重要ですよね。どの分野でも学習や研究の最後には「発表討論」があり、自分の研究成果を正しく伝え、議論することが要求されますが、これはそのためのトレーニングになっています。ぜひともみなさまには、同時に、「正しく伝える」とはどういうことか、ということも考えていただきたいです。いかに魅力的に聞こえても、先入観や色眼鏡で見た解釈やデータの一部を偏って抜き出すことは「正しく伝える」ことではありません。講演では同じデータを異なる表記のグラフで並べたときの印象の違いも例として出しました。あのように、示し方一つで全く違う印象を与えることができるのです。ご自身が何かを伝えるとき、「なにを正しく伝えたいのか」に立ち戻って、伝え方を工夫してみてください。


Q:最新かつ正しい情報を見極めるために、心がけていることはありますか?また、高校時代にやるべきことは何だと思いますか?

A:佐藤先生(パネリスト:教員)
数学からにげずにきっちりと理解することだと思います。
A:大谷先生(講演者)
個人的には、まずは一次データに当たる姿勢が重要ではないかと思っています。SNSやネットニュースの見出しや、印象操作された図に踊らされず、根拠となっている情報を見つけ、それを自分の目で確かめる姿勢をぜひ身につけてください。また、このときには、たった一つのソース元に頼らず、複数のソースから情報を集めることも重要です。インターネットでの検索にしても、調べ方一つで出てくる結果も種類も変わりますし、書籍だけでも一般向け書籍、専門書、学術誌、国際誌、国内誌、などさまざまな種類のソース元があります。それぞれに特徴があり、得られる情報の量と質が違います。今日からでも出来ると思いますので、ぜひ実践ください。

Q:データを正しく掴み理解し、考える姿勢は、研究職だけでなく、文系の職種でも大いに役立つと思います。そこでお聞きしたいのですが、理系出身の東大生女子は、どういった企業、団体に就職されていますか?特に、文系企業への就職状況を教えていただきたいです。

A:大谷先生(講演者)
質問に質問で返す形で恐縮ですが、「理系企業」「文系企業」と言う言い方をするとき、質問者さまは何を想像されるでしょうか?調べてみていただくと、企業は文系や理系ではなく、「業種」で区分されるのが一般的であり、文系や理系の区分はないことに気づかれると思います。また、一つの企業の中にはさまざまな部署があり、各部署で望まれる能力や技能は、多様であることが分かります。こう考えると、学校教育の中で使われる「文系・理系の区分」はむしろ社会の実態には即しておらず、本来的にはこの区分自体を見直すべきなのかもしれないと思います。 就職活動をしている学生さん達の声を聞くと、いろんな業種や企業を回っている内に、自然と「興味が沸く業種」「がんばれそうな企業」に出会うことも多いそうです。「文系・理系選択で進路や就職先が限られることはない」「いつでも分野は変えられる」・・・これは、パネルディスカッションでも繰り返し出てきた話題でした。できれば進む道を頭から文系・理系で決めつけてしまうのではなく、自分がやりがいを持てる仕事はなにか、と言う観点から、将来の就職先を考えてみていただければと思います。

Q:政府の政策発表の決め手としてどのような情報があったかこの講演で詳しく知ることが出来ましたが、この情報をメディアは全面的に報道していた印象がないのです。このような情報を私たちが知れる手段として何があるでしょうか。

A:大谷先生(講演者)
どの分野にも「専門家」と呼ばれる人がおり、最近では専門家がSNS等で積極的に、リアルタイムで情報や考察を発信してくれています。まずはこうした専門家の声に耳を傾けることでしょうか。また、とくにまったく新しい事件が起こったとき(COVID-19もまさにそうでした)には、専門家の中で意見が分かれることも起こりえます。できれば複数の専門家の言説を集め、比較検討できれば良いですね。これらに関するハードルが低い方法としては、まずは信頼のおける(と思われる)科学者のまとめを参考にしつつ、自分自身の調査を広げていくことが考えられます。 データの詳細は難しくて理解出来なくても「これだけ多くの専門家が騒いでいるんだから、何か大変なことが起こっているに違いない」「こっちの先生とこっちの先生で言っていることが違うけど、何か普通じゃないことが起こっているのかな」と思うところから始めてください。そこから丁寧に情報元を追っていただくだけで、見えてくることがあります。


Q:ご講演どうもありがとうございました。騙されないために数字から世界が見られるようになりたいなと思います。一つ正しい情報に関してのコミニケーションに関して質問があります。例に出ていたトイレットペーパーや「ぬるま湯でコロナが治る」というようなコロナでなくてもいろいろなデマを友人や、親戚が信じているときどんな話し方をすると生意気だとか言われずに、説明ができるでしょうか?周りに引かれると嫌なので黙ってしまうような時に少し悲しくなります。

A:佐藤先生(パネリスト:教員)
専門家の意見などがあれば、具体例を示すなどして説明するのが良いと思いますが、それでも「生意気だ」などと言われてしまった場合は、無理に教えてあげなくても良いのではないでしょうか(笑)
A:蜂須賀先生(講演者)
客観的データ(事実)と、データに対する自分の(主観的な)考察を分けて説明すると良いかもしれません。例えば、「このデータによると、こういう結果が出ているよ。」→「自分はこういう風に解釈しているけれど、あなたはどう思う?」と、相手の意見を聞いて、信ぴょう性の是非を一緒に考えてみるのはどうでしょうか。
A:大谷先生(講演者)
そうですね、親しい間柄だからこそ、指摘しにくいことも多いですよね。 とくにトイレットペーパーの品切れについては、デマが元で起こった側面もありますが、その背景には「そもそも人はトイレットペーパーを多めにストックしがちである」という条件が重なったせいだという考察もあります。実際に日本中のスーパーで品切れ状態になっていましたので、途中からはなかなか説得力を持って説明することは難しかったと思います。 デマが持っている違和感について納得してもらうためには、問題点をどのくらいシンプルに分解し、自分の言葉で実感をもって説明できるか、が重要のように思います。デマが広がりやすいのは、対象となっている事物が重要な割りに、あいまいな情報しかないときだと言われていますので、あいまいになっている部分を指摘し、冷静に矛盾を説明できると良いかもしれません。 また、もしうまく説明できなかったとしても、質問者さま自身がデマに騙されない姿勢を貫いていただければ、それだけで十分に意味があります。ぜひ、誰かの判断に流されず、ご自分で判断する姿勢をお持ち下さい。


■その他の質問

Q:リケジョのおすすめの分野はなんですか?

A:倉持さん(パネリスト:学生)
自分が興味を持った分野に進むことをおすすめします!
A:蜂須賀先生(講演者)
おすすめの分野は、「自分が好きなこと」です。自分は何に興味があるんだろう、それはどんな学問の分野に分類されるんだろう、というステップで自分に向いている分野を見つける方法もあると思います。


Q:世の中には男女比のバランスの悪い職種が多々ありますが、すべての職種でバランスを取ったほうが良いのでしょうか。アンバランスの方が良い物はあるのでしょうか?

A:蜂須賀先生(講演者)
性別に限らず、体格や得意なことなど、多様性のある人が混在している方が課題解決には有利に働く可能性が高いとは思いますが、何かに特化した(偏りのある)特性が必要な場面や職種もあるかもしれません。(乗り物酔いをしない人の方が、乗り物を職場とする職業に向いているなど)


Q:他の大学から東大の大学院に入るのは大変ですか?

A:倉持さん(パネリスト:学生)
私の場合、大学院入試では専門科目と英語のテストがありました。科目数が少ないという点では、勉強法としては大学入試よりは楽かもしれません。
A:蜂須賀先生(講演者)
他大学の出身者だから特別大変ということはないと思います。


Q:大気海洋研究所に所属している大学院生が、大学生の時に所属していた学部はどこが多いですか?

A:佐藤先生(パネリスト:教員)
理学部と農学部が多いです。


Q:私は理系に進んで、社会に役立てたいと思っているのですが、今のところ、あまり理科が好きではありません。理系に進んでしまって大丈夫なのでしょうか?

A:佐藤先生(パネリスト:教員)
好きな分野の勉強を突き詰めて行うことが、結果的に世の中の役に立つのだと思いますよ。
A:倉持さん(パネリスト:学生)
理科が好きではない理由によると思います。もし理科が苦手だからという理由なら、工夫して勉強することで克服できると思います。理科に興味を持てないという理由なら、無理に理系に進む必要もないと思います。
A:蜂須賀先生(講演者)
「理系=理科という科目」だけが正解ではなく、「理系≒論理的思考」と考えてみるのも良いかもしれません。物事の因果関係について「なぜだろう?」と考えてみる(理系的)姿勢が社会に役立つことになると思います。また、社会に出ると理系と文系が融合した分野が多いこともありますので、ぜひ身近な物事に興味を向けて思考を巡らせてみてください。


Q:東京大学では留学しやすい環境は整っていますか?

A:蜂須賀先生(講演者)
交換留学制度があり、休学をしなくても留学ができるような環境が整っています。


Q:大学生活の話でなく申し訳ないのですが、理科の勉強はどの様に進めるのが良かったですか?

A:倉持さん(パネリスト:学生)
私は物理と化学を選択していました。物理は公式を覚えるのではなく、公式の意味や成り立ちの理解が大事です。公式を理解できたら、ひたすら問題を解くと良いと思います。化学は、計算をする問題から、知識を問われる問題もあります。暗記はあまり得意ではありませんでしたが、すき間時間を使って覚えるようにしました。
A:蜂須賀先生(講演者)
可能な限り「自分の目で見て確かめてみる」という方法が良いと思います。確かめる前に「なぜだろう、きっとこうだろう」と仮説を立ててみる姿勢が、理科の勉強の理解につながると思います。


Q:数学が好きですが、テストで点数がなかなか取れません。パネリストの方々がどの様な勉強法をなさっていたのか気になります。

A:佐藤先生(パネリスト:教員)
教科書の例題を何度もやり直す。基礎をおろそかにしたまま、上に何かを積み上げようとしてもけしてうまくいかないのが数学という学問の特徴です。とにかく基礎からしっかりやって下さい。
A:倉持さん(パネリスト:学生)
数学の問題を解くときに、わからなくてもすぐに答えを見ることはせず、しっかり時間を使って考えるようにしていました。
A:蜂須賀先生(講演者)
例えば公式について、覚えることよりも中身を理解すること興味を持つと、楽しくなった記憶があります。


Q:保護者です。将来どんな職業につけるかということについて、想像より色々な選択肢があることがわかりました。ただ、現状、少ない女子は薬学、食品系など、特定の分野に隔たっているように思います。本来、ほとんどの分野にも女子は進出できるし、そうなるべきかと考えています。勇気が出るようなアドバイスをお願いします。

A:倉持さん(パネリスト:学生)
物理系は、理系の分野の中でも特に女子が少ないです。しかし、今までに性別のせいで不利になることはありませんでした。恐れることなく、興味を持った分野に進んでほしいと思います。
A:蜂須賀先生(講演者)
本来、学問に男女の差はないはずです。「女子」「リケジョ」という言葉は群のラベル(名称)であると考え、その裏に見え隠れする様々な(他人がつけた)意味づけはあまり気にせず、「自分のやりたいことは何だろう?」「やりたいことが見つかるまで、とにかく色々やってみよう!」と前向きに進んでみてください!

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