研究会の概要

研究グループ形成の意義と概要

バイオミネラリゼーション(biomineralization)は生物が無機鉱物を作る作用を意味します。生物が作る無機鉱物にも多種類あり、また鉱物を作る生物には下等な細菌から高等な動植物まで極めて幅広い生物が存在し、重要な生命活動の一環としてこの作用を利用しています。しかし、そのメカニズムにはまだ不明の点が多く残されています。 本バイオミネラルゼミは、2000年8月10日に学内の小さな研究グループとしてスタートしました。遠藤一佳先生(当時、東京大学大学院理学系研究科・地球惑星科学専攻・助手;現、東京大学大学院理学系研究科・地球惑星科学専攻、教授)が呼びかけ人になり、同専攻の小暮敏博助教授(現、准教授)、大学院農学生命科学研究科・応用生命化学専攻の長澤寛道教授(現、東京大学名誉教授)、海洋研究所分子海洋科学部門の(故)渡辺俊樹助教授の4人とそれぞれの研究室の関係者(博士研究員、院生、学生)が加わって、10数名が集まり、基本的に1ヶ月1回情報交換をすることになりました。

本バイオミネラルゼミの趣旨は、バイオミネラリゼーションに関する問題をさまざまな角度からの議論を深めることによって、研究上の情報交換や新たなアイディアの創出に利するとともに、院生、学生への教育的効果を上げること目的にしています。バイオミネラリゼーションという作用を解明するには、既存のひとつの学問領域ではカバーできない多くの研究分野からの知識と知恵を必要とします。たとえば、鉱物結晶学、溶液化学、生化学、分子生物学、生理学等の幅広い分野からの解析が必要となります。まさに、学際研究分野です。したがって、さまざまな角度からの見方や研究が重要になります。また、このゼミは、単にバイオミネラルの解析だけでなく、生物の有するこのような作用を模倣したり、発展的に新しい有機・無機複合材料の構築を目指すような応用面まで含んでいます。このような意味で、いろいろな専門の研究者が参加してくださることを期待しています。

ゼミは、院生や教員に最新の研究成果についての話題提供をしていただき、それについて討論をするという形式で行っています。また、時には学内の他部局の先生方や学外の先生方に研究紹介をしていただき、新しい情報と関連分野の研究を理解することにも務めています。