UBI seminar (33th) 2019年2月20日(水)12:00~13:00
 場所:東京大学本郷キャンパス 理学部1号館413号室
 講演者: 有吉 哲郎氏(理化学研究所 BDR, 東京大学大学院理学系研究科岡田研究室)
 講演タイトル: RNA時空間動態の単一細胞解析を可能にする発蛍光性RNAの開発

概要:
近年の研究からRNAレベルでの遺伝子発現調整が発生、分化多能性、刺激応答など様々な生命現象の制御に重要な役割を担っていることが明らかとなってきた。特定遺伝子のRNAがどのように遺伝子発現を調整しているのか詳細を解明するため、生きた細胞内で特定RNAの動態を可視化する技術が強く求められている。
今回我々はヒト・マウスなど高等動物細胞でmRNAを可視化することができる新規発蛍光性RNA「Romanesco」の開発に成功した。
GFPが生きた細胞でタンパク質を可視化するように、Romanescoは生きた細胞でmRNAを定量的に可視化することができる。
Romanescoの開発によって既存の技術では困難であった細胞内mRNA局在変化のイメージングやmRNA発現動態の単一細胞解析が可能となり、その結果プレmRNAの核小体への一時的凝集や刺激応答性遺伝子発現における転写動態の細胞間多様性という新たな知見を得ることができた。さらにDNA、RNA、タンパク質の同時イメージングを実現し、「DNAからのRNA合成」「RNAの核外輸送」「RNAからのタンパク質合成」という一連の遺伝子発現動態を単一細胞レベルで可視化することに成功した。本発表を機にRomanescoの詳細について情報を共有して頂き、どのような応用可能性があるか議論できれば光栄である。