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物性セミナー/2021-6-4

2021年 夏学期 第3回 物性セミナー

 講師 岡本 博 氏(東京大学大学院新領域創成科学研究科)

 題目 テラヘルツ・中赤外パルスで誘起される強相関系の非線形光学応答,非平衡励起状態と相転移

 日時 2021年 6月 4日(金) 午後4時50分

 場所 Zoomによるオンライン開催

出席希望者は、予め登録をお願いします。登録フォーム https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdT67ZsTDiKsvutP59tY4tOUlx4WTInMKkTQIGWLqYCrPAQKA/viewformをご利用ください。MLによるセミナー案内メールにてZoomアドレスをお知らせします。(物性セミナーMLに登録されている方は、ここでの登録は必要ありません。)

アブストラクト

可視光を照射したとき固体の電子相が一変する現象“光誘起相転移”は,フェムト秒レーザーを使ったポンプ−プローブ分光により盛んに研究されてきた.その対象として注目されてきた物質群に強相関系がある.強相関系では,光照射によって生じた電子励起や光キャリアが強い電子間相互作用を通して周囲の電子系を変化させることにより,高速かつ高効率の光誘起相転移が起こる.光誘起相転移に関連する近年のトピックの一つは,中心周波数約1 THz(光子エネルギー約4 meV),時間幅約1 psのほぼ単一サイクルの電磁場=“テラヘルツパルス”を使う研究である.電場振幅が100 kV/cmを遥かに超える高強度のテラヘルツパルスの発生が可能となり,それを使って固体の電子状態を制御しようという試みが盛んに行われている[1,2].ごく最近には,ポンプ光に光子エネルギーが100 meV程度の中赤外パルスを使った電子状態制御の研究も行われるようになってきた.中赤外パルスは,通常、数サイクルの電磁場パルスとして得られる.この中赤外パルスでは,10 MV/cm以上の高い電場を物質に与えることができる他,中赤外域の格子振動を共鳴励起できることや,マルチサイクルパルスによって生じるフロッケ状態等の新しい励起状態の観測も期待できる.本セミナーでは、強相関系(3d遷移金属化合物や有機分子性物質)において我々がこれまでに行ってきたテラヘルツパルスあるいは中赤外パルスによる非線形光学応答や非平衡励起状態の研究、また、それらのパルスによる相転移を目指した研究について、以下の話題を中心に紹介する。

〇 テラヘルツパルスによるモット絶縁体の超高速非線形光学応答と金属化 [3-5]

〇 テラヘルツパルスによる電子型誘電体の超高速分極制御と相転移 [6-9]

〇 中赤外パルスを用いた分子内振動励起によるイオン性−中性転移 [10]

〇 中赤外パルスで生成するフォノンドレスト状態の観測 [11]

[1] 例えば、固体物理特集号“高強度テラヘルツ・赤外パルスが拓く非平衡物性”,固体物理 Vol. 54 (2019).

[2] T. Miyamoto, H. Yamakawa, T. Morimoto, and H. Okamoto, J. Phys. B: At. Mol. Opt. Phys. 51, 162001 (2018).

[3] H. Yamakawa et al., Nature Materials 16, 1100 (2017).

[4] T. Terashige et al., Science Advances 5, 2187 (2019).

[5] T. Miyamoto et al., Communications Physics 2, 131 (2019).

[6] T. Miyamoto et al., Nature Communications 4, 2586 (2013).

[7] H. Yamakawa et al., Scientific Report 6, 20571 (2016).

[8] T. Morimoto et al., Physical Review Letters 118, 107602 (2017).

[9] H. Yamakawa et al., Nature Communications 12, 953 (2021).

[10] T. Morimoto et al., submitted.

[11] N. Sono et al., submitted.

宣伝用ビラ

KMB20210604.pdf(86)

物性セミナーのページ

http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/KMBseminar/wiki.cgi/BusseiSeminar

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最終更新時間:2021年05月28日 14時10分27秒