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<研究概要>
私たちの研究室では、カエル胚を用いた初期発生に関する研究と、ヒトiPS細胞を用いた細胞分化に関する研究を行っています。前者は生命現象の解明をめざす基礎研究、後者はそれに加え、社会に役立てるための応用研究です。これらはそれぞれが重要なのはもちろん、両者を組み合わせることで、更なる研究展開も期待できます。以下に具体的な研究内容を紹介します。

(1)脊椎動物胚を用いた発生・分化の分子機構の研究
単純な形の「たまご」が、複雑な構造をもつ「からだ」を作り上げる仕組みは、これまで多くの研究者によって研究されてきました。たとえば、受精後しばらくたつと、卵のどの部分が何になるかといった、体の「場所分け」が行われます。私達は、このような場所分けがどのような分子機構で行われるかについて、主にツメガエル胚を用いて研究しています。
  ①予定プラコード領域の規定機構
ツメガエル胚では神経胚期までに、外胚葉を構成する領域がおおまかに決まります(図1)。私達は特に、神経領域と表皮領域の間に誘導され、将来の末梢神経・感覚器に分化する予定プラコード領域の規定機構について研究を行っています。(Watanabe et al. Development (2018)、Watanabe et al., Genesis(2015)、Matsukawa et al, Dev Biol (2015), Chen et al, Nat. Gen (2015) も参照)。
  ②外胚葉の領域規定における物理的な力・細胞形状の関与
また、外胚葉の各領域が決まる仕組みにおいて、細胞の”形”、あるいは細胞にかかる”力”が重要であると考えています。分子生物学・細胞生物学的な手法に加え、数理的なアプローチも導入して研究を進めています。例えば、張力プローブを用いて外胚葉の細胞にかかる張力を非侵襲的に測定し(図2:Hirano et al. Int. J. Dev. Biol.(2018)、Yamashita et al., Sci. Rep. (2016))、また細胞形状情報を細胞単位で調べることを通し(図3)、力や細胞の形と外胚葉パターンとの関係を明らかにしてきました(Yamashita et al., J. Theo. Biol. (2014)も参照)。現在は、胚にかかる力が実際に外胚葉パターンの形成をコントロールしているかどうか、研究を進めています。
  ③腫瘍形成に関わる新規遺伝子セットの同定
これまでの知見から、腫瘍化は複数の遺伝子変異によって引き起こされることが知られています。私達は現在、ネッタイツメガエル胚、あるいは培養細胞にCRISPR-Cas9系を用いた複数遺伝子の変異導入を通し、新規発癌遺伝子セットの探索を行っています。
 ④その他、モルフォゲンとなるリガンドの分泌制御機構に着目した解析も行っています。

(2)ヒトiPS細胞を用いた細胞分化に関する研究
ヒトiPS細胞から様々な組織・器官へ分化させる方法の研究は、再生医療実現のための重要な手段として国内外で活発に研究が行われています。私たちはこれまで、無血清・無フィーダー培養によるヒトiPS細胞の維持・分化に関する研究を行ってきました。また、この技術を利用し、ヒトiPS細胞から低コストで膵島内分泌細胞を誘導する方法について研究を行っています(図4:Horikawa et al., PLoS One (2021)も参照)。更には、膵β細胞・神経細胞に着目し、物理的な力が細胞分化にどのような影響を与えるかについて、解析を行っています。