東大牧原ゼミ「読み破る政治学ハイスクール編」2023年春期ゼミナールへの参加方法
(1)対象
現在高校2年生・1年生の学生(高校進学が決まっていて意欲のある中学3年生、大学進学が決まっている高校の卒業予定者・卒業生も可能です)
(2)日時とねらい
①説明会:希望者には、随時メールで打ちあわせた上でZoomで行います。
ハイブリッドの形式ですので、疑問がある方には、随時説明会を行い、教員が直接ゼミの趣旨や進め方を説明し、疑問点などにお答えします。もちろん参加要件ではありませんが、雰囲気を知りたい方はご連絡ください。これまでには受け持ちの生徒に代わって高校の先生がいらしたこともありましたし、そういう場合も歓迎します。時間帯など、登録のページにご記入ください。なお、この説明会での基本的な説明内容は、下記のYouTubeチャンネルにアップロードしていきます。そちらを随時御覧頂いてもかまいません。しばしば質問されるものとして「ペーパーをどう書くかについては昨年のものも基本は同じですので、その動画をご覧いただければ雰囲気をつかめるのではないかと思います。
Makihara Laboのチャンネル
今回は全体として、一つの文献が他のメディアと重なる文献を選んでいます。本についての評論だったり、対話と通史が織り込まれていたり、Amazon Primeでドラマに翻案されていたりといったものから、本格的な政治学の古典的文献へと読み進めてみる構成です。さまざまなメディアをいろいろと楽しめる今、本を読む手がかりが見えてくるような読書体験を重ねてみようというのが、ここでの狙いです。
初回は短いものをまず読んで議論してみることが課題です。今私たちにとってもっとも切実かつ身近な問題としてウクライナ戦争がありますが、太平洋戦争下でカエサルの『ガリア戦記』について書かれた、2ページほどの文章を取り上げます。文芸評論家の小林秀雄によるものです。意欲のある人は、『ガリア戦記』がどんな本なのか、手に取ってみてはと思います。読みやすいエッセイについて、まずは議論してみましょう。
2回目はペーパーを書いてみることにトライすることがねらいで、直近の安倍晋三政権について通史と対話で論じたものをとりあげます。対話編から入ってみると読みやすいでしょう。ほんの少し前の政治について、皆さんの記憶をたどってみたりもしながら、存分に考えるところをペーパーに仕立ててほしいと思います。
3回目からは一冊まるごとを読むこととして、広く世界に目を向け、歴史と政治の絡まり具合を見通そうとします。ここでは、アメリカのSF名作『高い城の男』を取り上げます。Amazon Primeでドラマのさわりを見てみるよいでしょう。またこの著者は、『ブレードランナー』という名作映画の原作者でもあります。映像を頭の片隅に本を読んでみて、議論することがここでのねらいです。
そして最終回は、政治学・政治思想の古典を一冊読みます。ここは難易度が上がりますが、繰り返し読む価値のある古典を読んでみることは、今後の勉学に大きな刺激になるのではないかと思います。時期的には新学期の開始と重なりそうですので、出席可能な人とともに週末に行うことを考えていますが、皆さんと相談しつつ日程を決めます。
②3/16(木)17:30~19:30
イントロダクションとディスカッション
課題文献:小林秀雄「『ガリア戦記』」(小林秀雄『新訂小林秀雄全集 第7巻 歴史と文学』新潮社、1978年:文献は当方で用意)
*初回はA42枚という短い小林秀雄の評論を読みます。太平洋戦争の中で、古代ローマの戦争記を小林は読み解いています。ウクライナ戦争が世界を揺るがす中で、読み、考えるにふさわしい文献でしょう。原文の『ガリア戦記』をこの機会に見てみることも、意味があるのではないでしょうか。ペーパーを出しても出さなくてもいいですが、大学生たちの議論をまずは聞いてみて下さい。聞きながら、どしどし質問を出して参加してみて下さい。
③3/23(木)17:30~19:30
課題文献:御厨貴・牧原出「第二の政権交代と第二の安倍晋三政権」(同『日本政治史 通史と対話』有斐閣、2021年:文献は当方で用意)
*ここでは、直近の政治を歴史からたどっている文章を読んでいただきます。もとは放送大学の『日本政治外交史』なのですが、この章は、放送教材に鳴っていない部分です。ぜひ対話編から入って下さい。雰囲気をつかんで、通史も見ているという読み方から、解釈を広げていただきたいと思います。ぜひ皆さんもペーパーを提出してみて下さい。
④3/30(木)17:30~19:30
課題文献:フィリップ・K・ディック『高い城の男』ハヤカワ文庫、1984年
*一冊の本を手に取って読み、ゼミに参加してみましょう。ここではSF小説です。第二次世界大戦で日本とドイツが勝利しアメリカを東西分割しているという設定から物語は始まります。原作は1960年代に発表されたのですが、2010年代というフェークニュースの時代にAmazon Primeでドラマになったことが、英語圏では話題となりました。現在とは転倒した世界をどうとらえるか、また物語の展開からどのような政治を読みこめるか。フリーで見られる抜粋版もありますので、ぜひドラマの一部を見てほしいと思います。本を読むにもいろいろなアプローチがあることを念頭に、政治について考え、議論してほしいと思います。
⑤番外編(参加希望の学生とともに4月に開催する予定です)
課題文献:ジャン=ジャック・ルソー『人間不平等起源論』岩波文庫、1972年
*政治についての古典を読んでみましょう。格差社会と現在言われることが多いのですが、こうした不平等をどう政治哲学としてとらえるか、ルソーの手さばきを読み解いてみたいと思います。繰り返し読んでもよい古典ですので、この機会にまず一読してみて下さい。
(3)場所:オンラインでのZoomアドレスは個別にメールでお知らせします。対面でもゼミを行うハイブリッド形式の場合は、対面のゼミは東京大学先端科学技術研究センター13号館3階講堂で行う予定です
東大先端研へのアクセス(13号館は正門正面の時計台の建物です。当日13号館内に掲示を出します)
東大先端研へのアクセス
(4)用意するもの
課題図書と筆記用具は必須です。また飲み物や軽食などを準備しても構いません。もちろん各自の判断でその他参考文献やパソコン・電子辞書など授業で使いたい道具を手元に置いてください。
(5)参加方法
参加を希望する学生は、3/14(火)までに、下記のフォームを通じて参加登録をして下さい。
ゼミの登録参加フォーム
連絡方法は原則として電子メールを使います。またエッセイの提出も電子メールを使います。したがいまして、パソコン等を利用して、メールアドレスを通じてやりとりをできることが参加条件となります。タブレットならば不可能ではありませんが、画面の小さいスマートフォンではやりとりは難しいと思います。
なお、ゼミ形式での議論の参加を希望する学生には、メールでペーパーを当日開始前までに出していただきます。そうした手順については、登録後随時お知らせします。
開講の趣旨のページ