物質が対象の物性物理学。光量子を扱う量子工学。量子力学をも包含する量子物理学。
従来はバラバラだったこれらの学理が融合した先に応用量子物理学が位置します。
わたしたちは、「量子効果」と「フォトン」をテーマとする物性の実験研究を行っています。
ある時はフォトンは新奇な量子現象を探るプローブであり、またある時は量子効果そのものがフォトンの発生・検出・制御を可能にします。
「物質」を介して両者の互恵関係は、ますます緊密になりこそすれ、その進化(深化)は止まるところを知りません。
潜在的な発展性にもまして、根源的なレベルで自然の設計図が垣間見える点は実に興味深く、我々をひきつけてやみません。
このHPでは現在、私たちが行っている研究の一部を紹介します。
研究内容
物質の特性を理解することが、物性物理学の目的です。しかし、自然が用意した物質だけを調べる研究は過去の話。
いまや量子現象や量子効果の舞台である物質系も、実は「デザイン」の勝負です。
グラフェン状ゲルマニウムの作製、自己サーファクタント効果、ゲルマネン多層化用Caの界面活性機能などからデザインに取り組んでいます。
半導体微細化は原子スケールに迫り限界が近づいてきており、次世代技術開発が急務です。
光電子融合技術、スピン制御からⅣ族原子の高機能素子の実現を見据え研究しています。
電子輸送が全能なシリコン製レーザーは人類の夢です。
Geへスピン偏極注入により、スピン位相緩和の詳細が明らかになりつつあります。
電子ラマン機能化も検討中です。
光の量子エンタングルメントの生成技術はこれからの量子情報処理に不可欠なキーテクノロジーです。
我々は非線形結晶によるレーザー光のパラメトリック下方変換を用いた偏光エンタングルメント生成に取り組み、
局所実在論では説明できないBell不等式の破れを観測しています。
多光子のエンタングル状態は、物質との相互作用を増幅して見せます。
この量子効果により、試料へのダメージを抑えた精密計測が可能です。
吸収媒質の磁気光学測定において、古典限界を越える測定精度の実現条件を絞り込みました。
将来的にはセンシングに特化したデバイスの開発につなげることが狙いです。
物体を見ずにイメージング?
離れた2経路へ進む光束対、光路1には2次元カメラ、光路2にはマスクと全検出器。
光束対に相関がある場合には測定を繰り返し、積算してマスクのない光路1側に像を浮かび上がらせられます。
我々はゴースト・プロトコルの進化形を模索中です。
「とにかく面白そうだ」
「ちょっと興味を持った」
「量子現象を見てみたい」
「〇〇について理解を深めたい」
動機はどんなところにあっても構わないので、まずは自分から働きかけよう。研究はこんなきっかけから。
東京大学大学院 総合文化研究科 広域科学専攻 相関基礎科学系
東京大学 教養学部 統合自然科学科 物質基礎科学コース
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