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『東大英単』出版のお知らせ

『東大英単』出版のお知らせ

東大英単

 東京大学教養学部英語部会編著『東大英単』が 3 月下旬に東京大学出版会より上梓されました。本書は教養学部生の実力や必要性にもとづいて開発された学内用教科書を母体とし、それをさらに広い読者に向けて発展させたものです。「語彙力強化を通じて総合的な英語力を豊かにすること」を最大の目的としています。

【制作の背景】

2006 年度にスタートした教養学部英語新カリキュラムの構想段階で、「読み」を中心とする必修授業をサポートする一つの方法として独自の語彙テキストを編纂してはどうかという発想が生まれました。編集チームはその後、週一回の会合を重ね、 2007 年 5 月の部会シンポジウムでの中間報告を経て、1年生夏学期用英語 I テキスト On Campus の第 1 章から 11 章までの重要語彙をもとにした A Handbook of Academic Vocabulary (通称 HAVOC )を 2008 年 4 月に学内出版しました。これは1、2年生を対象とした多くの授業で使用され、教室の学生たちからは、「大学入学後の英語学習のモティベーションを上げる教材」として歓迎され、多くの改善案も寄せられました。担当教員からの建設的なフィードバックもその後の編集作業にさまざまな形で生かされました。こうして部会のメンバーや学生たちの熱心な参加のプロセスを通じて、駒場の英語教育のエッセンスを反映したオリジナルな語彙テキストができあがりました。

【トゥキュディデスからオバマまで】

本書の例文や解説には文理横断、古今東西の人物や事柄が縦横に取り上げられています。一番多く出てくるのはなぜかシェイクスピアですが、珍しいところでは坂本竜馬、オーストリアの哲学者オットー・ノイラート、チェコ生まれの生化学者ゲルティ・コリなども登場し、マヤ暦、「紹興の和議」、「方丈記」から「ハイゼンベルグの不確定性原理」、月面着陸、オバマ大統領就任演説まで、文学・歴史・数学・化学・国際政治など、大学の授業でカバーされる多様な領域を扱っています。
  現代の英語世界における男性・女性の職業や地位に関する語彙についてもコラムで特集していますが、本文中でも、例文の主語や内容について、両方のジェンダーに配慮した書き方をしています。また、本書のイラストの猫は名前が「ミヨ」で、編集段階では皆が何となく she と呼んでいましたが、実のところ、性別は不詳です。
 このように教養主義と言葉に対する遊び心を柱とした本書には、論文作成のみならず、現代のグローバル社会で役立つ生き生きとした英語表現やヒントが満載されています。 280 の見出し語の理解は、例題を通じてさらに深まるはずです。

【『東大英単』出版その後】

「可愛い子には旅をさせよ」と言いますが、『東大英単』は白いジャケットと青いオビに身を固め、去る 3 月 23 日に駒場キャンパスから市場という未知の世界に飛び出しました。銀座や大手町のビジネス街でも歓迎されているというのは予想外でしたが、旅立ちから 2 か月を経て、 5 月下旬には東京メトロ丸の内線の車内でも見かけたという情報が入ってきています。また最近は築地界隈にも出没し、何と「ドラゴン桜」とも仲良くしているらしいという噂を聞きました。これからも全国各地で思わぬ出会いが待っているかも知れません。多くの良き師や友を得て、成長していってほしいと願っています。

ミヨちゃん

(文責: 能登路雅子)

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