英和辞典 『ジーニアス英和辞典』などの学習英和辞典に加え、大学生になったら大辞典も積極的に活用してほしい。1〜3は用例や語法の解説なども充実した定番の大辞典で、25万以上の語句を収録。専門的な英文を読むための助けになるし、英語を書くときにも役に立つ。価格やサイズを考えると電子辞書などで利用するのが現実的かもしれない。4とその補遺版にあたる5も同じく電子版で利用可能で、さまざまな分野の英語を読むための頼もしい道具となる。用例などは最低限に抑えられているため、大辞典などと組みあわせて使うのがいい。一方、1915年に刊行された古典的な辞典の新版である6は数ある英和辞典のなかでもユニークな存在。用例の日本語訳を眺めるだけでもおもしろく、勉強になる。
英英辞典 英英辞典は形容詞や副詞などの細かなニュアンスの違いを教えてくれるし、定義や用例を眺めるうちに自分で使える表現の幅が少しずつ広がっていくはず。英和とあわせて活用してほしい。英英辞典には外国語として英語を学ぶ学習者向けに作られたものと、より一般的な読者に向けて作られたものとがある。どちらも使えるようにして、1冊ずつ使いやすいものを見つけてもらいたい。7〜9は学習者向け。定義や説明の仕方にそれぞれ特徴がある。収録項目数はある程度限定されるが、丁寧な説明と豊富な用例は英文を書く際に大きな助けとなる。10〜12は項目数の多い一般向けの辞典。上級編ということになるかもしれないが、使ううちに身近な道具になるだろう。一種の類語辞典としても活用できるし、12に載っている多くのカラー図版を眺めるのも楽しい。OED と略される13は最大最強の英語辞典。日常的な英語の読み書きに使うものではないので個人で購入する必要はない。語源についての説明に加え、古い語義から新しい語義へと用例の引用とともに単語の意味の変遷が分かるように記述されているため、ある語が特定の意味で使われるようになった時期を調べることもできる。一度は図書館で実物に触れてほしい。ことばも歴史のなかを生きているのだと実感できるはず。大学が購読契約している便利なオンライン版も利用できるので、図書館ウェブサイトを参照して積極的に活用しよう。(OUPはオックスフォード大学出版局。洋書の価格は為替レートによって変わるので各自で確認。)
和英辞典 英文を書くときに一番頻繁に参照するのは和英辞典だと考える人もいるかもしれない。もちろんそもそも該当する単語・熟語を知らない場合、つづりが分からない場合は頼るしかないのだが、和英辞典のみを参照していると不自然な英文を書いてしまいがち。探している語を見つけただけで満足せずに用例にも目をとおすこと、ほかの種類の辞典と組みあわせて使うことを意識してほしい。48万項目を収録し、豊富な用例を見ることのできる大辞典の14は1と同じく電子辞書などで利用するといい。中辞典サイズの15は語法の解説が充実しており、意味の近い表現の使い分けについても丁寧な説明がなされていて参考になる。 類語・連語辞典・その他 英和・英英・和英辞典に加え、使えるようになると便利な道具がいくつかある。ある名詞がどのような動詞と組みあわされやすいか、ある動詞のあとにはどのような前置詞が使われることが多いかといった単語同士の結びつき(連語、コロケーション)を調べるための辞典は英語を書くためにぜひ使えるようにしたい。16は38万の用例と日本語訳を収録したもので、何度か使うと手ばなせなくなるはず。17は英語のみのコロケーション辞典だが、内容を厳選して日本語での解説を加えた日本語版も出ている。同じ単語を何度も繰り返さないように言い換えのための表現を探したいとき、考えていることをより正確に伝えるための単語を見つけたいときに力になってくれるのが類語辞典(シソーラス)。英語を第一言語とする人も使う一般向けが18、19で、学習者向けのOxford Learner's Thesaurus の内容を厳選して日本の学習者向けに編集し直したのが20。学習者向けに項目数は限定されているが、21も類語表現についての丁寧な解説があって参考になる。これらの辞典は英和・英英辞典と組みあわせて表現の幅を広げるために活用してほしい。最後に、英語で読む文法・語法の解説書として定評がある22と23を挙げる。ある程度英語を使うことに慣れた時点でこのような本に立ち戻れば、抜け落ちていた知識を補うのに役立つはず。
電子機器と辞典 最近では紙の本の辞典よりも電子辞書、あるいはPC、タブレット端末、スマートフォン上のアプリを使うことのほうが多いかもしれない。実際、上で紹介したものの多くは電子機器で利用可能だし、複数の辞典の同時検索や成句・例文検索など独自の機能も多くある。そのような電子機器上の辞典も積極的に活用してほしい。ただ、意識してもらいたいのは信頼できる辞典を使うこと、そして面倒だと思わずに例文なども表示して目をとおすこと。ウェブブラウザ上の検索エンジンで調べたい単語を検索してすませるのでは心もとないし、複数の語義を並べて検討することも難しい。また、ページをパッと開いたときに目に入ってくる情報量は紙の辞典のほうが圧倒的に多く、同じ辞典でも電子機器で見るときとは印象が異なることもよくある。とくに気に入った辞書はできれば本でも購入して手元に置き、大切な道具として育ててほしい。 ※この記事は教養学部報第635号に掲載されたものを加筆修正の上、教養学部報委員会の許可を得て転載したものです |
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