研究概要/Research overview

将来社会のシナリオ分析に基づいた、サステイナビリティのためのシステム工学の研究室です。

社会課題は時間的・空間的な広がりを持ち、課題同士が関係しあう複雑なものとなっています。社会のビジョンにたどりつくためには、このまま行ったらどうなるのかというフォアキャスティングと、ビジョンへたどりつくにはどうしたらよいかというバックキャスティングの両方のシナリオ分析を行いながら、進んでいくための方法論が必要です。
 本研究室では、要素の技術を組み合わせたプロセスシステムについてシミュレーションを行い、社会システムの中での性能や効果を明らかにしていきます。そして、社会システムの中での技術の価値を評価し、社会シナリオ分析とビジョンの実現に貢献していきます。

技術システムのモデリング/Modeling of technology and systems


要素技術を数理モデル化して、プロセスシステムとして組み合わせたときの性能を定量的に評価できるようにします。例えば、バイオマス資源由来のプラスチック製造に関しては、反応経路や触媒が開発されてきました。植物工場では、エネルギーを使用して栄養成分である窒素・リン・カリウム(NPK)や水を節約し、省スペースな農業プロセスを実現しています。これらの技術が実際に環境負荷を総合的に削減できるかどうかは、その製品のライフサイクル全体を評価してみないとわかりません。これを実行するためのモデルを開発しています。

<関連する論文 例>
Yasunori Kikuchi, Yuichiro Kanematsu, Naoki Yoshikawa, Tatsuya Okubo, Michiko Takagaki, Environmental and resource use analysis of plant factories with energy technology options: a case study in Japan, Journal of Cleaner Production, 186(10) 703-717 (2018)

Yasunori Kikuchi, Yuko Oshita, Kazuya Mayumi, Masahiko Hirao, Greenhouse gas emissions and socioeconomic effects of biomass-derived products based on structural path and life cycle analyses: A case study of polyethylene and polypropylene in Japan, Journal of Cleaner Production, 167, (2017) 289-305

Yasunori Kikuchi, Kotaro Ouchida, Yuichiro Kanematsu, Satoshi Ohara, Yasuhiro Fukushima, Retrofit Energy Integration for Selective Fermentation in Cane Sugar Mills under Hot/Cold Energy Availability, Journal of Chemical Engineering of Japan, 50(4), 297-308, (2017)

Kotaro Ouchida, Yasuhiro Fukushima, Satoshi Ohara, Akira Sugimoto, Masahiko Hirao, Yasunori Kikuchi, Integrated Design of Agricultural and Industrial Processes: A Case Study of Combined Sugar and Ethanol Production, AIChE Journal, 63(2), 560-581 (2017) 

プロセスシステムシミュレーション/Process systems simulation


技術システムのモデルを用いて、シミュレーションを実施することができます。シミュレーションでは、例えば国内エネルギーシステムのマクロな分析から、特定地域の分散型エネルギーシステムなどのミクロな設計まで、様々なものを対象に実施しています。特に、再生可能資源による物質・エネルギーの生産を大規模に導入するために、環境負荷の削減というマクロな分析に基づく、地域のミクロなシステム設計について、シミュレーションを用いたアプローチで研究を展開します。

<関連する論文 例>
大内田弘太朗、服部太一朗、寺島義文、大久保達也、菊池康紀、サトウキビ品種と動力プラントにおける技術オプションを考慮したバガス発電の導入効果分析、 化学工学論文集、44(2), 113-122 (2018)

Teruyuki Shimizu, Yohei Tsukushi, Kei Hasegawa, Manabu Ihara, Tatsuya Okubo, Yasunori Kikuchi, A region-specific analysis of technology implementation of hydrogen energy in Japan, International Journal of Hydrogen Energy, in press DOI: 10.1016/j.ijhydene.2017.11.128

Yuichiro Kanematsu, Kazutake Oosawa, Tatsuya Okubo, Yasunori Kikuchi, Designing the scale of a woody biomass CHP considering local forestry reformation: a case study of Tanegashima, Japan, Applied Energy, 198, (2017), 160-172

Yasunori Kikuchi, Yuichiro Kanematsu, Masamichi Ugo, Yosuke Hamada, Tatsuya Okubo, Industrial Symbiosis Centered on a Regional Cogeneration Power Plant Utilizing Available Local Resources: A Case Study of Tanegashima, Journal of Industrial Ecology, 20(2) 276-288 (2016)

Yasunori Kikuchi, Seiichiro Kimura, Yoshitaka Okamoto, Michihisa Koyama, A scenario analysis of future energy systems based on an energy flow model represented as functionals of technology options, Applied Energy, 132 586-601 (2014)

技術システム評価/Assessment of technology and systems


技術システムは多様性を有しています。単純な効率や採算性、環境負荷だけでなく、操作性はもちろん、安全性、社会経済の中での価値など、様々です。個々の観点については、ライフサイクルアセスメントや産業連関分析など、既存の定量化・可視化手法が存在するものもあります。こうした既存手法の組合せや、新たな評価手法の開発を通じて、技術システムの多面性を解析できる方法論を開発していきます。

<関連する論文 例>
Yasunori Kikuchi, Yuichiro Kanematsu, Naoki Yoshikawa, Tatsuya Okubo, Michiko Takagaki, Environmental and resource use analysis of plant factories with energy technology options: a case study in Japan, Journal of Cleaner Production, 186(10) 703-717 (2018)

Yasunori Kikuchi, Miwa Nakai, Kazutake Oosawa, Yuichiro Kanematsu, Kotaro Ouchida, Tatsuya Okubo, A computer-aided socio-technical analysis on national and regional energy systems considering local availability of renewable resources, Computer-Aided Chemical Engineering, 40, 2485-2490 (2017)

Yasunori Kikuchi, Yuko Oshita, Kazuya Mayumi, Masahiko Hirao, Greenhouse gas emissions and socioeconomic effects of biomass-derived products based on structural path and life cycle analyses: A case study of polyethylene and polypropylene in Japan, Journal of Cleaner Production, 167, (2017) 289-305

菊池康紀、持続可能性を考慮したプロセス評価のアクティビティモデルとデータモデル、 化学工学論文集、40(3) 211-223 (2014)

Yasunori Kikuchi, Masahiko Hirao, Hirokazu Sugiyama, Stavros Papadokonstantakis, Konrad Hungerbühler, Takashi Ookubo, Akinobu Sasaki, Design of recycling system for poly (methyl methacrylate) (PMMA). Part 2: Process hazards and material flow analysis, International Journal of Life Cycle Assessment, 19(2) 307-319 (2014)

技術システムの実装/Implementation of technology and systems


設計、評価を行ってきた技術システムを実際に社会に導入するためには、設計と評価の結果だけを提示するだけでは不十分であることがあります。それを受け入れる社会側の価値観や動機と結びつき、担い手となる事業体や人材、制度、歴史・文化などとの関係構築も必要な側面となります。本研究室では、技術システムが社会システムの中でどのような価値を持つべきかを探索しながら、実際に社会へ技術システムを実装するための過程を体験できるよう、国内外のフィールドにおける現場調査と、実際の設計・導入の現場への研究成果のフィードバックを行っていきます。

<関連する論文 例>
兼松祐一郎、大久保達也、菊池康紀、農林業地域における産業共生の計画プロセスのアクティビティモデルとデータモデル (Activity and Data Models of Planning Processes for Industrial Symbiosis in Rural Areas)、 化学工学論文集、43(5), (2017), 347-357.

菊池康紀, 尾下優子, 福島康裕, 帰結的ライフサイクル思考に基づく離島地域のエネルギーシステム設計, PETROTECH, 39(6), 461-467 (2016)

東京大学「未来社会協創推進本部」登録プロジェクト

 

研究概要

Research overview

将来社会のシナリオ分析に基づいた、サステイナビリティのためのシステム工学の研究室です。
社会課題は時間的・空間的な広がりを持ち、課題同士が関係しあう複雑なものとなっています。社会のビジョンにたどりつくためには、このまま行ったらどうなるのかというフォアキャスティングと、ビジョンへたどりつくにはどうしたらよいかというバックキャスティングの両方のシナリオ分析を行いながら、進んでいくための方法論が必要です。
 本研究室では、要素の技術を組み合わせたプロセスシステムについてシミュレーションを行い、社会システムの中での性能や効果を明らかにしていきます。そして、社会システムの中での技術の価値を評価し、社会シナリオ分析とビジョンの実現に貢献していきます。
 

技術システムのモデリング

Modeling of technology and systems

要素技術を数理モデル化して、プロセスシステムとして組み合わせたときの性能を定量的に評価できるようにします。例えば、バイオマス資源由来のプラスチック製造に関しては、反応経路や触媒が開発されてきました。植物工場では、エネルギーを使用して栄養成分である窒素・リン・カリウム(NPK)や水を節約し、省スペースな農業プロセスを実現しています。これらの技術が実際に環境負荷を総合的に削減できるかどうかは、その製品のライフサイクル全体を評価してみないとわかりません。これを実行するためのモデルを開発しています。
 

プロセスシステムシミュレーション

Process systems simulation

技術システムのモデルを用いて、シミュレーションを実施することができます。シミュレーションでは、例えば国内エネルギーシステムのマクロな分析から、特定地域の分散型エネルギーシステムなどのミクロな設計まで、様々なものを対象に実施しています。特に、再生可能資源による物質・エネルギーの生産を大規模に導入するために、環境負荷の削減というマクロな分析に基づく、地域のミクロなシステム設計について、シミュレーションを用いたアプローチで研究を展開します。
 

技術システム評価

Assessment of technology and systems

技術システムは多様性を有しています。単純な効率や採算性、環境負荷だけでなく、操作性はもちろん、安全性、社会経済の中での価値など、様々です。個々の観点については、ライフサイクルアセスメントや産業連関分析など、既存の定量化・可視化手法が存在するものもあります。こうした既存手法の組合せや、新たな評価手法の開発を通じて、技術システムの多面性を解析できる方法論を開発していきます。
 

技術システムの実装

Implementation of technology and systems

設計、評価を行ってきた技術システムを実際に社会に導入するためには、設計と評価の結果だけを提示するだけでは不十分であることがあります。それを受け入れる社会側の価値観や動機と結びつき、担い手となる事業体や人材、制度、歴史・文化などとの関係構築も必要な側面となります。本研究室では、技術システムが社会システムの中でどのような価値を持つべきかを探索しながら、実際に社会へ技術システムを実装するための過程を体験できるよう、国内外のフィールドにおける現場調査と、実際の設計・導入の現場への研究成果のフィードバックを行っていきます。