Is Unified Understanding of Vibrational Coupling of Water Possible? Hyper-Raman Measurement and Machine Learning Spectra
水のカップリングを統一的に理解できるか?ハイパーラマン分光測定と機械学習
K. Inoue, Y. Litman, D. M. Wilkins, Y. Nagata*, and M. Okuno*
Journal of Physical Chemistry Letters, 2023, 14, 12, 3063–3068
修士2年の井上さんおよびMPIPとの共同研究です。おめでとうございます!
この論文では、赤外・ラマン・ハイパーラマン分光法による液体水のスペクトル中のOH伸縮振動信号における振動カップリングの影響を、振動バンドの幅から議論しました。H2Oと重水素(D2O)で希釈したHODのOH伸縮振動のバンド幅を比べることで、赤外および平行ラマンスペクトルに対して、ハイパーラマンスペクトルにおける振動カップリングの影響は小さいことを明らかにしました。
さらに、機械学習を活用したスペクトルシミュレーションの結果から、ハイパーラマンスペクトル中における振動カップリングでは、分子内カップリングではなく分子間での振動カップリングの寄与が大きいことを見出しました。振動カップリングの影響がハイパーラマンに比べて大きい赤外・平行ラマンスペクトル中においても、分子間カップリングの寄与が支配的であるとされており、本研究では、赤外・ラマン・ハイパーラマンのどの分光法においても、OH伸縮振動信号における振動カップリングが、分子内よりも分子間カップリングに支配されている、という統一的な理解を得ることができました。
論文の査読がなぜか一名でしたが、なぜでしょう…。